前年までの検討により、アストロサイト特異的Rac1KOマウスでは、野生型マウスと比較し、脊髄損傷後の運動機能の回復が有意であることが示された。 脊髄損傷5週後の組織学的検討では、アストロサイト特異的Rac1KOマウスにおいて、脊髄損傷部近傍(損傷中心より頭側50μm~尾側50μmの範囲)でのGFAP陽性領域の減少(8.303% vs. 12.25% (P<0.05))がみられた。LN229細胞を用いた検討では、Rac1KDにより、遊走能の低下および分裂能の低下を認めた。中枢神経組織損傷後の機能回復にはアストロサイトの関与が示唆され、その反応にはRac1が重要なはたらきを担っている可能性が考えられた。
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