研究課題
若手研究(B)
本研究は、中枢神経系における内在性幹細胞ならびに、移植された外来性幹細胞が、電気刺激により、その生存・分化・遊走にどのような影響を与えるか を評価することを主目的としている。まず、25年度は脳梗塞モデルラットを作製し、他家骨髄幹細胞を脳内移植・経動脈移植・経静脈移植して、行動学的・組織学的に評価した。特に、経動脈移植に着目して、移植時期をずらすことによる、神経保護効果・細胞生着ならびに、両者の相関性を評価した。脳梗塞超急性期の移植では細胞生着が乏しく治療効果も低くなることを明らかにした。次いで、正常ラットならびに、脳梗塞モデルラットに対する電気刺激を行った。電気刺激単独では正常ラットにおいて明らかな行動学的変化をもたらさなかった。脳梗塞モデルラットに対しては、過去の我々の報告同様、脳梗塞体積の縮小とそれによる行動学的改善が得られた。細胞移植と電気刺激治療を個別に先行させた理由は、それぞれの手技が安定して実施できなければ、電気刺激による内在性神経幹細胞の活性化・遊走能の増強、さらには移植された幹細胞の分化・遊走能にどのような影響が加わるか について評価することが困難であると考えたためである。当初の予定より、若干遅れはあるが、2つの手技が安定して行えるようになっており、細胞移植・電気刺激を組み合わせた治療効果をこれから検討開始できている。本研究は、電気刺激治療の神経保護効果のメカニズムについて、大きな部分である細胞の生存・分化・遊走能に与える影響を評価するものであり、今後の中枢神経系疾患に対する電気刺激治療を推し進めることができるかどうか、非常に重要なものである。25年度は着実に研究成果へ向かって進んだ1年であると言える。
3: やや遅れている
当初の予定よりも遅れはあるものの、モデル作製・細胞移植・電気刺激 がいずれも安定して行えるようになっており、27年度までの予定において、十分なステップを踏むことができた。また、特に経動脈細胞移植について掘り下げた研究ができ、関連・派生した研究として、学会発表を行うことができた。今後論文発表にもつなげられる研究データである。さらに、本研究にも関連した痙攣モデルラットに対する細胞移植・電気刺激等に関する総説を英語論文として発表することもできた。これらを総合して考えると、達成度としては、27年度までの予定を100%とした場合、30%程度は到達できたと考えている。
当初の研究計画通り、脳梗塞モデル動物における硬膜外電気刺激治療を行い、それによる内在性神経幹細胞の分化・遊走の変化を詳細に検討する。また、内在性神経幹細胞が電気刺激により、果たしてどのようなシグナリングが関与して、その生存・分化・遊走に影響を与えられるのか、細胞接着因子・ケモカイン・低分子量Gタンパク質などに着目して明らかにする。同時に、脳梁を含めた大脳皮質に細胞移植を行い、反対側の硬膜外電気刺激を行うことによる細胞遊走能・分化能の評価を行う。脳梗塞モデルラットを用いて、行動学的組織学的評価を行い、これらの細胞生存・分化・遊走能の変化が、中枢神経系疾患に対する治療効果に影響を与えるかどうか検討する。また、同様にパーキンソン病モデルに対する細胞移植、それに対する電気刺激治療の影響を評価する。
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