研究課題
未破裂脳動脈瘤が発見された場合、現在有効な薬物治療はない。また、脳動脈瘤の形成と破裂の病態は異なる可能性がある。そこで、再現性良く、高頻度に脳動脈瘤破裂をきたす動物モデルを確立すること、脳動脈瘤破裂の病態を解明し、脳動脈瘤破裂予防の薬物治療評価を行うことを目的として本研究を行っている。雄性マウスに高血圧を誘導し、脳槽内にエラスターゼを単回注入することによって、脳血管の内弾性板を破壊し、脳動脈瘤形成を経て、高率に破裂するくも膜下出血モデルを用い、Angiotensin-(1-7)を投与することによりAT2Rを介し脳動脈瘤破裂を抑制した(JCBFM 2015)。さらに、卵巣摘出を行った雌性マウスにエストロゲンあるいはエストロゲンβ受容体作動薬は脳動脈瘤破裂、形成を抑制し、その機序としてNOSが関与していることを示した(Neurosurgery 2014, Hypertension 2014)。我々は高血圧、血行力学的負荷に加え、卵巣摘出によるエストロゲン欠乏状態を誘導した雌性ラットに脳動脈瘤を誘導している。高ホモシステイン血症を誘導すると脳動脈瘤破裂を促進することができた。このモデルをさらに改良して、薬剤を投与せず脳動脈瘤の破裂率を上昇させるモデル作製に至った。このモデルを用いて、脳動脈瘤破裂の機序解明および薬剤を投与して脳動脈瘤破裂を抑制できるか検討中である。このラットモデルは脳への直接的侵襲を加えていない点が利点である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件)
J Cereb Blood Flow Metab
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