研究課題/領域番号 |
25861281
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
政平 訓貴 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (80444769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | オリゴデンドロサイト / 脱髄疾患 |
研究概要 |
[具体的内容] 報告者は、成体脳におけるOlig2の機能解析を行うため頭部外傷モデルマウス脳におけるOlig2陽性細胞の変化を検討した。その結果、以下の4つの新しい知見を得る成果を得ている。(1)大脳では頭部外傷1日後にOlig2-陽性細胞の増加が惹起され、この増加は3日後まで維持されていた。 (2)扁桃体では頭部外傷1日後にOlig2-陽性細胞数が増加し、頭部外傷3日後にはさらにその細胞数が増加していた。 (3)脳梁では頭部外傷1日後にOlig2陽性細胞数の増加が惹起され、3日後にはさらに細胞数が増加していた。(4)海馬CA3では頭部外傷1日後にOlig2陽性細胞数の増加が惹起され、3日後には減少していた。 また(4)頭部外傷3日後の海馬CA3と脳梁は他の脳領域と比較して最もOlig2陽性細胞数が多かった。 [意義、重要性] 脱髄疾患は原因不明の難治性疾患であり、慢性、進行性の経過を辿るため患者は長年様々な神経症状に苦しむことになる。治療に向けて様々な試みがなされているが、有効な治療に結びつく結果は出ていないのが現状である。Olig2は神経発生において、髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトの発生に必須の転写因子である。Olig2は成体でも発現が認められており、脱髄の修復に関与すると考えられているが、その機能は十分解明されていない。昨年度の検討より報告者は頭部外傷モデルマウスの脳領域ごとのOlig2陽性細胞数の変化を検討しており、この成果は成体におけるOlig2の機能解明と病態への関与を解析するための重要な手掛かりとなり、この点において意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、成体でのOlig2の機能解析を行い、その結果を基にオリゴデンドロサイト前駆細胞を成熟オリゴデンドロサイトに分化誘導させて脱髄疾患の治療を行うことを目的としている。この研究目的の達成には、Olig2発現変化を伴う成体マウスを用いた病態モデルマウスの作成が必須となるため、昨年度は多くの時間をこの検討に費やした。その結果、頭部外傷モデルマウスの作成に成功し、さらに詳細なOlig2発現の変化を検討により脳領域ごとに特異的な発現誘導が存在することも明らかにした。このようなことから、オリゴデンドロサイト前駆細胞の成熟オリゴデンドロサイトへの分化に関する検討を行う時間的余裕がなくなり当初の計画よりやや遅れる事態に至った。しかし今回の成果により今後は迅速な研究を行うことが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は基本的に当初計画に従い、以下の3つの観点から研究を推進する。 1. 頭部外傷モデルマウスを用いた成体におけるOlig2陽性オリゴデンドロサイト前駆細胞の機能解析 2. Olig2下流因子の同定とオリゴデンドロサイトへの分化誘導因子のスクリーニング 3. 転写因子の強制発現レトロウイルスベクターを用いたOlig2の機能解析
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬の国内在庫が存在しておらず次年度に購入予定 試薬の購入予定である
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