研究実績の概要 |
本研究では側頭葉てんかん手術において,自動スパイク検出ソフトウェアを用いて計測したセボフルラン賦活術中皮質脳波におけるスパイク検出率が慢性頭蓋内脳波記録の代替として適切かどうか評価した.【方法】側頭葉てんかんに対して頭蓋内電極留置術を行った16例(海馬硬化症4例,腫瘍3例,海綿状血管腫2例,皮質形成異常7例(うちMRI negative4例))を対象とした.慢性頭蓋内脳波記録により発作焦点を同定,内側あるいは外側側頭葉てんかんと診断(それぞれ8例).切除術開頭前にセボフルラン濃度を変化させ慢性頭蓋内脳波記録を行った同一の電極で0.5MACおよび1.5MACの術中皮質脳波をそれぞれ10分間記録.自動スパイク検出ソフトReveal (Persyst Development Corp.)を用いて,全体の80%以上のスパイクが検出される電極をそれぞれの患者で決定(側頭葉内側最大2,外側最大8電極),10分間あたりのスパイク検出数を電極数で除した数字をスパイク出現率とした.0.5MAC,1.5MACそれぞれの濃度での側頭葉内側と外側のスパイク出現率および,0.5MACから1.5MACに増加させた際のスパイク増加率を測定した.【結果】内側側頭葉てんかん群と外側側頭葉てんかん群で,0.5MAC,1.5MACの内外側のスパイク出現率に有意差はなかった.0.5MACから1.5MACに増加させた際のスパイク増加率は,内側側頭葉てんかん群で5.22±2.20となり,外側側頭葉てんかん群(1.64±1.10)に比較して有意に高かった(P<0.01).【意義】セボフルラン0.5MACおよび1.5MAC賦活下術中皮質脳波のみで内側側頭葉てんかんと外側側頭葉てんかんを区別することは困難であるが,セボフルラン濃度上昇によるスパイク出現頻度の増加率が高い場合,内側側頭葉てんかんである可能性が高いと言える.
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