研究課題
頸部頸動脈狭窄による慢性虚血脳における低酸素細胞の存在および糖代謝低下の存在を示し、その血行再建術による変化と認知機能との関係について低酸素細胞をイメージングできる18F-FRP170 PETと糖代謝をイメージングできる18F-FDG PETを用いて検討を行った。まず低酸素細胞のイメージングについて検討した。脳主幹動脈狭窄・閉塞性病変52例において、15O-gas PETのCBF、OEF、CMRO2画像および18F-FRP170 PETの低酸素組織画像をそれぞれ撮影した。3DSRTを用いて脳を解剖学的に標準化し、関心領域を中大脳動脈領域の前頭葉、側頭葉、頭頂葉の3か所に設け、病側/健側比を算出した。その結果、18F-FRP170 PET上、低酸素組織の存在を示したROIは21個(13%)であった。これらの領域では、CBFの低下、CMRO2の中等度低下、OEFの上昇を示した。貧困灌流かつCMRO2が中等度低下した部位で低酸素細胞が存在することを証明した。今後は低酸素細胞の存在と認知機能との関連について研究を進めていく。次に糖代謝のイメージングについて検討した。頚部頚動脈内膜剥離術(CEA)を施行した88症例のうち、術前の脳血流SPECTで脳循環予備能が低下している22症例を対象とした。術前後に神経心理検査(WAIS-R、WRS、Rey test)を行い、このデータをもとに認知機能の術後改善、不変、悪化の3つに分類した。また、術前後に18F-FDG PETを用いて脳糖代謝画像を撮像し、3D-SSPを用いて認知機能不変群の術前後変化を対象として、各症例の大脳皮質における術後の有意な糖代謝増加あるいは低下面積を算出した。その結果、術後認知機能改善は7例、不変は9例、悪化は6例であった。大脳皮質における術後の糖代謝増加面積は改善>不変>悪化の順で有意差があり、糖代謝低下面積は改善<不変<悪化の順で有意差があった。CEA後の認知機能変化と手術側大脳半球の脳糖代謝変化とは相関することを証明した。
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Journal of Neurosurgery