研究課題
本研究により骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)と、その分泌タンパク質TSG-6が頭部外傷モデルマウスの頭部外傷領域を減少させることが明らかとなった。さらに行動テストにより記憶障害と鬱様行動が改善させることを見出した。このとき、好中球の組織浸潤と血液脳関門(BBB)の崩壊が抑制されていた。このことから、MSCsおよびTSG-6は好中球浸潤による炎症を減少させることによって血液脳関門の破綻を抑制し、二次的な脳損傷を改善していることが示唆された。さらに脳の記憶によって重要な部位である海馬の神経新生について解析を行った。頭部外傷後の新生神経細胞数を、doublecortinの免疫染色によって調べたところ、TSG-6投与によって増加していることがを明らかとなった。興味深いことにSham群においてもこの神経新生細胞の増加は確認された。このことからTSG-6は神経新生を促進している可能性が示唆された。またMSCが血液脳関門の破綻を抑制する機構を解析するため、BBBの構成細胞のひとつであるアストロサイトの活性化に注目して実験を行った。頭部外傷作成3日後で、MSC投与群においてアストロサイトのマーカーであるGFAPタンパク質発現が顕著に増加していることが明らかとなった。さらに培養アストロサイトにおいてScratch woundモデルを作成しMSCsと共培養したところ、傷の修復が顕著に促進されることが明らかとなった。これらの結果はMSCsがアストロサイトの活性化を介して頭部外傷後のBBB破綻を抑制することを示唆している。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件)
Br J Dermatol.
巻: 176 ページ: 413-422
10.1111/bjd.14885.
J Mol Neurosci.
巻: 59 ページ: 270-279
10.1007/s12031-016-0731-x.
Heliyon
巻: 2 ページ: e00111
10.1016/j.heliyon.2016.e00111. eCollection 2016 May.