研究課題/領域番号 |
25861292
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
茂呂 修啓 日本大学, 医学部, 助手 (00386012)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳挫傷 / アストロサイト / マイクログリア |
研究概要 |
この研究はラットの脳外傷後にアストロサイトが活性化し炎症反応を励起する経路を阻害することにより何らかの利益が得られるかを評価する研究である。評価には組織学的な検討と行動学的試験を行う予定である。組織学的な検討としてアストロサイトの受容体である様々なP2受容体の発現の状態やアストロサイトにより活性化されるマイクログリアの形態変化の観察、活性化されたアストロサイトやマイクログリアが放出するサイトカインの定量などを行う予定である。行動学的評価としてはアストロサイトの活性化経路を阻害することにより、外傷後出現する運動機能低下、空間認知能低下、反射障害などが改善されるかを観察する。 平成25年度は安定した外傷モデルの作製とタンパク解析であるウエスタンブロッティング法とmRNA解析であるRT-PCRを安定して利用可能にするために費やされた。外傷モデルの作製に関しては予定通りの開頭部位を利用して研究を開始した。外傷作製デバイス(Cortical contusion injury: CCI)のパラメーター(速度、接触時間、挫傷深度)を調整した。外傷部と非外傷部が明瞭な境界を有して作製される脳挫傷の条件を検討した。ウェスタンブロッティング法では使用する抗体の種類、ゲルの種類などを調整した。抗P2受容体抗体は様々な抗体が販売されており、そのどの抗体が最も鋭敏かつ安定して定量可能かを検討した。RT-PCRでは逆転写の条件、プライマーの設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
安定したモデルの作製と解析法の安定化に予定外に時間を費やした。モデルの作製ではCCIデバイスが安定して作動しているのか確認が取れなかったことが大きく影響した。外傷の重症度に個体差が強いと今後のデータの信用性に影響するためこの点は慎重にパラメータの調整を行った。マイクログリアの活性化測定のためのウェスタンブロッティングはまず既存の検体を利用し、抗CD11b抗体(OX-42)から開始した。初期に利用した抗体では上手くバンドが出ず、現在抗Iba-1抗体を使用している。安定したバンドを出すのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
方向性は申請の通りで大きな変更はない。ただし当初は24時間後、48時間後、7日後に脳サンプルを得るとしていたが、24時間後と48時間後に大きな差が見られない場合は24時間後、3日後、7日後に変更する可能性がある。他は当初の計画通りに遂行予定である。本実験を始めるにあたり、実験手技によるバイアスがかからず、安定してデータを出せるようセッティングするのに時間を要した。
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次年度の研究費の使用計画 |
セッティングに時間を要したため本実験に使用する額が繰り越しとなった。実験において手技的なバイアスは避けるべきと判断し計画から遅れていたが時間を使った。 今年度は計画書通りに遂行予定であるため計画書通りの額を使用する予定である。また人員の増員を行った。
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