当科で開発した抗菌作用を有するヨード担持チタン製インプラントの骨伝導能を解明するための動物実験を行った。 全身麻酔下で、成犬の胸腰椎にチタン(Ti)製、表面を陽極酸化処理したチタン(AO-Ti)製、表面を陽極酸化処理し、ポビドンヨードを封入したチタン(Ti-I2)製のスクリューを刺入し、各々の引き抜き強度を測定した。スクリューの刺入位置不良や試験中の検体破損のため、サンプル数は予定よりも少なくなった。引き抜き強度はTi群ではスクリュー刺入後4週で取り出した検体(3椎体)で平均1080N、8週で取り出した検体(10椎体)で平均1098Nであった。AO-Ti群では4週で取り出した検体(6椎体)で平均1080 N、8週で取り出した検体(4椎体)で平均1007 N であった。Ti-I2群では4週で取り出した検体(6椎体)で平均1166 N、8週で取り出した検体(4椎体)で平均1127 Nであった。4週、8週いずれの検体においても3群間に有意な差は認めなかった。 組織学的検査では骨伝導能の指標として、screw全長に対し骨が直接接している部分の割合を算出した。Ti群では4週の検体(4椎体)で平均53.0%、8週の検体(3椎体)で平均57.7%だった。AO-Ti群では4週の検体(4椎体)で平均61.9%、8週の検体(3椎体)で平均66.0%だった。Ti-I2群では4週の検体(4椎体)で平均61.6%、8週の検体(3椎体)で平均61.6%であった。4週、8週いずれの検体においても3群間に有意な差は認めなかった。ヨードコーティングによりチタンの持つ骨伝導能は障害されないことが示唆された。今後は組織学的検査の検体数を増やすとともに、力学試験の追加も行っていく方針である。
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