研究課題
平成25年度、平成26年度は、細胞周期をリアルタイムで観察できる蛍光タンパクFucciを導入したヒト骨肉腫細胞株143Bにin vitroでシスプラチン・ドキソルビシンを作用させリアルタイムイメージングを行った。その結果、細胞周期による抗がん剤の感受性の違い、抗がん剤の種類によるアポトーシスの起こり方の違いや細胞周期停止の様子を明らかにできた。これらの結果を踏まえ平成27年度はin vivoでの腫瘍全体の細胞周期の動向を観察しながら、骨肉腫に対するより効果的なシスプラチン+アドリアマイシンの投与法の探索を行う予定であった。しかし、動物実験が順調に遂行できなかったため、当初の計画を変更しin vitroでの研究を視点を変えて継続することとした。これまで我々は抗がん剤だけでなく紫外線とくにUVBのガン治療への応用を探索してきた。最終的には腫瘍切除後の再発予防のため、手術野のminimum residual cancer (MRC)を治療するためのmodalityとしてUVBを応用できればと考えている。平成27年度はFucciを導入した骨肉腫細胞にUVBを照射して、細胞周期をリアルタイムイメージングし、UVBが骨肉腫細胞の細胞周期やアポトーシスに与える影響について観察を行った。方法としてはFucci導入143B骨肉腫細胞にin vitroでUVBを照射し、30分毎に72時間の連続観察を行った。その結果、UVB照射はほとんどの腫瘍細胞でS/G2/M期での細胞周期停止をもたらすことが分かった。一部の細胞だけがS/G2/M期での停止を逃れmitosisに移行し、その結果DNA修復を行えずにapoptosisに陥った。またG0/G1期の細胞はS/G2/M期の細胞に比べてUVBに対する耐性を示すことを証明した。
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Cell Cycle
巻: 14 ページ: 1932-1937
10.1080/15384101.2015.1033598.