研究実績の概要 |
本研究の目的は、破骨細胞から産生される蛋白分解酵素である Cathepsin K(Ctsk)が乳癌や肺癌で骨病巣形成や拡大過程に果たす役割を詳細に解析することにより、Cathepsin Kを標的とした新規骨転移治療法の開発における基礎的データを蓄積することである。 乳癌・肺癌骨転移マウスモデルの作製のためCtsk欠損マウスと野生型マウスを用い、肺癌細胞を右脛骨内に注射し骨転移モデルを作成した。両群での腫瘍の大きさと骨破壊の程度を評価した。骨転移部位の評価を軟X線にて右脛骨に溶骨性転移巣が形成されたことを確認し、1週間ごとに撮影し溶骨部の大きさを測定した。 組織学的検討は還流固定後、パラフィン切片にてCtsk, RANKL, RANKなどの免疫染色、TRAPによる破骨細胞染色を行った。その後、光学顕微鏡を使用し細胞の局在や形態変化、細胞数や比率を解析し、TRAP陽性破骨細胞数や形態などを解析した。 Cathepsin Kが動脈硬化や変形性関節症などの疾患へ関与することも報告されており、Cathepsin Kの幅広い範囲での作用が知られてきている。また、ヒトの軟骨細胞と滑膜細胞におけるCathepsin Kをはじめ、ほかのCathepsin類の発現についても調べ、関節の変形に関与するか調べた。
|