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2013 年度 実施状況報告書

末梢神経再生における骨代謝関連因子の検討

研究課題

研究課題/領域番号 25861312
研究種目

若手研究(B)

研究機関三重大学

研究代表者

國分 直樹  三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40632378)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード末梢神経再生 / BMP / Schwann cell
研究概要

運動器の変性抑制は重要な課題であり,末梢神経でも加齢に伴う有髄線維の減少から転倒リスクにつながることから,神経保護や軸索再生の改善はロコモティブシンドロームの抑制に対する重要な治療戦略である.我々は神経系組織にPTH レセプターが発現する事実に着目し,PTH 製剤が末梢神経系組織でも効果を及ぼすと仮説した.また骨と神経は神経損傷における骨脆弱化の進行など関連が深いが,末梢神経系組織における骨代謝関連因子の発現と役割に関する研究は少ない.我々は神経系組織の発生における骨形成蛋白(bone morphogenetic proteins:BMPs)の重要性に着目し,末梢神経再生におけるBMP-7発現・局在変化を検討した.8週齢SDラットを用い,血管クリップにて坐骨神経軸索断裂モデルを作成,本モデルは歩行解析の結果,4-8週で機能回復が確認された.正常群,軸索断裂群(術後1週,2週,4週,8週)の坐骨神経を採取し,BMP-7,BMP receptors(BMPRs),Smadの発現を免疫組織学的,Western blotting(WB),real time PCR法で評価した.発現細胞はS-100,CD-68,P75NTRとの二重蛍光免疫染色にて評価した.結果,BMP-7は免疫組織学的には術後1週,2週で損傷部に有意に増大し,発現細胞は二重免疫染色にてP75NTRと共発現しており,脱髄鞘化したSchwann細胞であることが示された.BMPRsも同様の変化を認め,WB,PCRにおいても同様に発現増大を認めた.さらにBMPシグナルの下流であるp-Smad1/5/8も術後1週,2週で発現が増大し,4週以後には減少した.今回の検討からBMP-7は神経再生時のBungner's bandsの形成や神経栄養因子として軸索伸長誘導や再髄鞘化に関与することが考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書であげた平成25年度の計画に従い,動物モデルの作成と免疫組織学的検討、Western blot、Real time PCR による定量的解析を行い,末梢神経再生におけるBMP,BMPRs,p-smadの発現変化と局在を確認した,

今後の研究の推進方策

H25年度の検討の結果から,末梢神経再生の過程においてBMP7は損傷後に有意な発現の増大を認め,その発現細胞は脱髄鞘化したSchwann細胞であることが示された.さらにBMPRsとシグナルの下流であるリン酸化Smadも同じ時期に発現を認めたことより,神経再生時のBungner's bandsの形成や神経栄養因子として軸索伸長誘導や再髄鞘化に関与することが考えられた.次にPTH 製剤の投与によるBMPs の内因性発現の変化や軸索再生に与える影響を神経挫滅モデルを用い,免疫組織学的,蛋白,遺伝子レベルでのBMPs 発現を評価し,末梢神経損傷時の神経細胞変性を抑制するかも検討する予定である.PTH 製剤投与にてBMPs 発現の変化を認めない場合も,神経系組織にはPTH レセプターを多数認めることから,同様に形態学的変化や標的組織を評価する.さらにBMPs シグナル以外の伝達メカニズムを検討するため,Schwann 細胞の純粋培養技術を用いてin vitro に検討することも計画している.

次年度の研究費の使用計画

神経伝導速度計測装置を購入予定であったが、装置設置場所の問題と、SFIによる評価にて運動機能の回復が予想より良好に可能であったことより見合わせたため。
次年度に今年度の繰越金を使用して実験を進めていく。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (13件)

  • [雑誌論文] 上腕骨外顆骨折変形治癒に対し矯正骨切り術を施行した1例2013

    • 著者名/発表者名
      植村 剛、辻井雅也、里中東彦、國分直樹、須藤啓広
    • 雑誌名

      中部日本整形外科災害外科学会雑誌

      巻: 56(3) ページ: 553-554

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MRIを用いた尺骨動脈と有鉤骨鉤の解剖学的検討2013

    • 著者名/発表者名
      植村 剛、辻井雅也、國分直樹、飯田 竜、平田 仁、須藤啓広
    • 雑誌名

      中部日本整形外科災害外科学会雑誌

      巻: 56(6) ページ: 1371-1372

    • 査読あり
  • [学会発表] 肩腱板変性断裂における断裂周囲滑膜のADAMTS5とmiR-140-5pの発現検討2013

    • 著者名/発表者名
      飯野隆大、辻井雅也、若林 徹、植村 剛、國分直樹、長谷川正裕、須藤啓広
    • 学会等名
      第28回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      千葉市
    • 年月日
      20131016-20131018
  • [学会発表] 手指MP関節側副靱帯の基節骨付着部裂離骨折に対するbone anchorを用いた骨接合術2013

    • 著者名/発表者名
      辻井雅也、里中東彦、飯田 竜、國分直樹、横山弘和、須藤啓広
    • 学会等名
      第121回中部日本整形外科災害外科学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      20131003-20131004
  • [学会発表] 手指伸筋腱に発生した腱内ガングリオンの治療経験2013

    • 著者名/発表者名
      國分直樹、辻井雅也、里中東彦、飯田 竜、横山弘和、須藤啓広
    • 学会等名
      第121回中部日本整形外科災害外科学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      20131003-20131004
  • [学会発表] 足関節内果皮膚潰瘍に対して後脛骨動脈穿通枝を用いて再建した1例2013

    • 著者名/発表者名
      長尾信人、辻井雅也、植村 剛、國分直樹、横山弘和、須藤啓広
    • 学会等名
      第121回中部日本整形外科災害外科学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      20131003-20131004
  • [学会発表] 肩関節鏡視下滑膜切除の術直後に高K血症を認めた透析患者の1例2013

    • 著者名/発表者名
      萩 智仁、辻井雅也、植村 剛、國分直樹、横山弘和、須藤啓広
    • 学会等名
      第121回中部日本整形外科災害外科学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      20131003-20131004
  • [学会発表] ラット坐骨神経挫滅モデルにおけるBMPs発現と局在の検討2013

    • 著者名/発表者名
      國分直樹、辻井雅也、横山弘和、守田哲正、里中東彦、須藤啓広
    • 学会等名
      日本マイクロサージャリー学会40周年記念学術集会
    • 発表場所
      盛岡市
    • 年月日
      20130926-20130927
  • [学会発表] 右胸壁に生じた放射線皮膚潰瘍に対して対側の内胸動脈穿通枝皮弁で加療した1例2013

    • 著者名/発表者名
      横山弘和、辻井雅也、國分直樹、大角秀彦、松峯昭彦、須藤啓広
    • 学会等名
      日本マイクロサージャリー学会40周年記念学術集会
    • 発表場所
      盛岡市
    • 年月日
      20130926-20130927
  • [学会発表] 放射線処理脛骨の近位骨端線離開に対して逆行性血管柄付き大腿骨内顆骨弁を施行した1例2013

    • 著者名/発表者名
      萩 智仁、辻井雅也、里中東彦、植村 剛、國分直樹、横山弘和、松峯昭彦、須藤啓広
    • 学会等名
      日本マイクロサージャリー学会40周年記念学術集会
    • 発表場所
      盛岡市
    • 年月日
      20130926-20130927
  • [学会発表] 母指関節CM関節鏡視下手術の各ポータルにおける安全性と操作性の検討2013

    • 著者名/発表者名
      辻井雅也、里中東彦、植村 剛、飯田 竜、國分直樹、藤澤幸三、須藤啓広
    • 学会等名
      第86回日本整形外科学会学術総会
    • 発表場所
      広島市
    • 年月日
      20130523-20130526
  • [学会発表] 母指CM関節症に関するKaarela法の成績2013

    • 著者名/発表者名
      辻井雅也、里中東彦、植村 剛、國分直樹、飯田 竜、須藤啓広
    • 学会等名
      第120回中部日本整形外科災害外科学会学術集会
    • 発表場所
      和歌山市
    • 年月日
      20130405-20130406
  • [学会発表] 鏡視下に豆状三角関節の遊離体切除を行った1例2013

    • 著者名/発表者名
      飯田 竜、辻井雅也、植村 剛、國分直樹、植村和司、須藤啓広
    • 学会等名
      第120回中部日本整形外科災害外科学会学術集会
    • 発表場所
      和歌山市
    • 年月日
      20130405-20130406
  • [学会発表] MRIを用いた尺骨動脈と有鉤骨鉤の解剖的検討2013

    • 著者名/発表者名
      植村 剛、辻井雅也、國分直樹、飯田 竜、平田 仁、須藤啓広
    • 学会等名
      第120回中部日本整形外科災害外科学会学術集会
    • 発表場所
      和歌山市
    • 年月日
      20130405-20130406
  • [学会発表] 手関節尺側に発生したガングリオンに関節鏡視下手術を施行した2例2013

    • 著者名/発表者名
      國分直樹、辻井雅也、山崎 隆、植村 剛、植村和司、須藤啓広
    • 学会等名
      第120回中部日本整形外科災害外科学会学術集会
    • 発表場所
      和歌山市
    • 年月日
      20130405-20130406

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公開日: 2015-05-28  

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