骨形成因子(bone morphogenetic protein)はその強力な骨形成能により欧米において臨床応用されている。しかしながらヒトにおいては高用量のBMPが骨形成に必要であるため炎症反応や異所性骨化などの副作用が広く臨床使用されている妨げとなっている。Teriparatide(PTH1-34)は骨形成作用を有する骨粗鬆症治療薬として承認をされているが、近年BMPのシグナル伝達との相互作用が報告された。我々はBMPとPTH1-34の間欠投与を併用することで低用量のBMPでの効率的な骨誘導、誘導新生骨の骨質改善、誘導新生骨のモデリングが可能となると過程し、ラット脊椎固定モデルを用いて、PTH1-34 6週投与(短期群)、12週投与(長期群)の検討をおこなった。6週投与の検討では、BMPとPTH1-34の併用は骨誘導に必要なBMP量を低減し、誘導新生骨の骨質を著明に改善させることを報告した(JBJS AM 2014)。PTH1-34の長期投与では新生骨のモデリングに着目し、長期投与により過剰誘導新生骨はモデリングされ必要な骨形態に変化する(内骨膜方向への骨形成及び外骨膜の骨吸収)が生じることを見いだした(投稿中)。PTH1-34併用によるこれらの効果はBMP投与により誘導されるWntのnegative regulatorであるsclerostinの抑制とPTHシグナルによるメカニカルストレスに反応した骨のモデリング・リモデリングであると考察している。今後、モデルを四肢長管骨にも応用し力学ストレスとの関連をvivoおよびmolecular levelで解明していく方針である。
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