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近年骨・軟部悪性腫瘍(肉腫)に対しては、化学療法の進歩、治療技術の向上により生命予後の改善がみられている。しかし多くの肉腫では，抗がん剤や放射線に対する感受性に乏しく、肺転移などには、既存の治療法では対処できず、満足のいく治療効果を得ていないのが現状である。よって従来の治療法に抵抗のある骨・軟部悪性腫瘍(肉腫)に対する、新たな治療法の開発が切望されている。テロメラーゼ阻害剤は癌細胞を有限分裂寿命化し、死滅させることができるものと考えられており、新たな抗癌剤として注目されている。本研究の目的はテロメラーゼ阻害剤であるTMPyP4の骨肉腫細胞に対する抗腫瘍効果をin vitroで評価しマウス骨肉腫モデルに対する抗腫瘍効果を検討し、悪性骨・軟部腫瘍に対する新たな薬物療法を開発することである。
骨肉腫細胞株においてテロメラーゼ阻害剤投与によりテロメア長は短縮を認め、HOS、U2OS、SaOS2細胞株において有意な細胞増殖効果を示した。テロメラーゼ阻害剤であるTMPyP4は、癌腫と比較してテロメラーゼ活性が低値である骨肉腫細胞への活性低下作用より、テロメア長短縮により細胞増殖抑制作用を生じる可能性が高い。
TMPyP4はテロメア長を短縮させなくても，腫瘍細胞のDNA損傷によるテロメア機能不全を起こす作用が肉腫には働く可能性があると考えられる．骨肉腫に代表される肉腫の治療成績向上のためには，有効性が高く副作用の少ない新治療薬が切望されている．本研究により，テロメア形態の異なる骨肉腫細胞株に対するTMPyP4単剤での抗腫瘍効果が証明され，肉腫治療の新たなストラテジーとなる可能性が示唆された。
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