研究課題/領域番号 |
25861326
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐藤 亮祐 徳島大学, 大学病院, 医員 (30581152)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 軟骨分化 / 小胞体ストレス |
研究概要 |
タンパク質合成の工場である細胞内の小胞体がタンパク質の品質管理のみならず、さまざまな機能を持つことが示唆されて近年注目されている。軟骨基質を盛んに合成する軟骨細胞は小胞体が豊富であり、成長軟骨において軟骨細胞の小胞体が軟骨基質の合成以外の機能を有することが考えられる。 当該年度において小胞体ストレスを可視化するマウスを用いて脛骨の成長軟骨板を観察することにより増殖軟骨層から前肥大軟骨層において小胞体ストレスが発生することを明らかになった。またin vitroの解析で軟骨の分化誘導解析で小胞体ストレス検知器がII型コラゲンの発現上昇と同期して活性化することが明らかになった。また小胞体ストレスを安定的に発現した前軟骨細胞培養株ATDC5を作成し、分化誘導解析を行ったところ、軟骨基質であるプロテオグリカンの産生が増加していた。 in vivoにおいて小胞体ストレス検知器を欠失したマウスの大腿骨の長軸成長をμCTを用いて解析したところ、欠失マウスでは長管骨の成長が障害されていることが明らかになった。また同マウスでは成長軟骨板の幅に異常を認め、胎生期における骨格形成を全身骨格染色で解析すると欠失マウスでは骨形成遅延を生じることが明らかになった。 成長軟骨板を司るさまざまな因子の異常が骨系統疾患を発症し、その病態に小胞体ストレスが関与することが明らかになってきている。そのため、小胞体ストレス応答の軟骨における役割を明らかにすることが骨系統疾患の病態解明や新しい治療薬の開発につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度において生理的な小胞体ストレスが成長軟骨板で生じており、in vitroの実験においては軟骨細胞の機能成熟に関与していることが明らかになった。また小胞体ストレス検知器を欠失したマウスを用いて表現型解析を行ったところ、胎生期において骨格形成に異常を示すことが明らかになった。今年度はどのようなメカニズムで働いていくかを解析予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の繰越金に関しては染色関連に必要な試料にあてる。成長軟骨における小胞体ストレス検知器の絶対的発現量をデジタルPCRを用いて解析する。in vitroでは前軟骨細胞培養株ATDC5にcrispr/cas9システムを用いて小胞体ストレス検知器を欠失させ、それぞれの検知器を過剰発現させて分化誘導解析を行い、それぞれの検知器の補完の影響を排除した状態で分化への影響を解析する。またタンパク質を欠失したマウスから間葉系細胞を採取し、BMP2を用いて分化誘導実験を行うことを計画している。 in vivoではin situ hybridyzation法を用いて時間的・空間的に胎生マウスにおける軟骨分化の制御因子の発現を解析する。 また軟骨細胞の機能成熟に対してどのようなメカニズムで働いているのかを調べる必要がある。まず遺伝子改変マウスの成長軟骨板からRNAを採取し、DNA microarrayをかけ、標的遺伝子の絞り込みを行う。また免疫沈降法およびMS解析法を用いて共役因子を同定する。さらに標的遺伝子を遺伝子欠失マウスから採取した間葉系細胞に導入することによって軟骨細胞の機能が回復するかをmicromass culture法で解析する。microarray解析に関しては胎生のどの時期のマウスからRNAを採取するかが重要であり、さまざまな時期での発現をin situ hybridyzationで解析し、参考にする。免疫沈降法に対しては内在の小胞体ストレス検知器を検出困難な場合はタグ付けした検知器を過剰発現して実験を行う。 本研究で得た結果をまとめ、成果を国内・国際学会で発表し、論文にまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
胎生期においてより強い骨格形成に異常を呈することが明らかになり、胎生マウスを解析することが中心になりマウスの飼育費が減じたため、次年度使用額が生じた。 胎生期において小胞体ストレス検知器欠損マウスに強い骨格の形成異常が生じることが明らかになったため、次年度は胎生期のマウスを用いる必要がある。そのため、胎生のどの時期に主に発現しているかをマウスの全身骨格をin situ hybridization法を用いて解析することを計画しており、染色関連の試料を購入する予定である。また骨格形成に作用するメカニズムを解析するためにDNA microarrayで標的遺伝子を同定する方法、免疫沈降法およびMS解析を用いて共役因子を同定することを計画している。
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