研究課題
本研究の目的は、悪性骨軟部腫瘍に対する新たな分子標的治療として、選択的cyclooxygenase-2(COX-2)阻害薬の抗腫瘍効果を評価することである。悪性末梢神経鞘腫におけるCOX-2タンパクの過剰発現を臨床病理学的に検討した結果、腫瘍組織におけるCOX-2過剰発現は、全生存(overall survival)を有意に低下させ、さたに多変量解析を行った結果、独立した予後不良因子であることが判明した。培養細胞株を用いた検討では、悪性末梢神経鞘腫細胞株FMS-1と未分化多形肉腫細胞株FPS-1でCOX-2が発現していた。In vitroでの選択的COX-2阻害薬etodolacの腫瘍増殖抑制効果は、FMS-1では、caspase経路を介したapoptosisにより誘導されることが明らかになったが、FPS-1では異なっており、腫瘍のタイプによって効果に差異が存在することが判明した。他の悪性骨軟部腫瘍に対する選択的COX-2阻害薬の効果を評価するため、新たな悪性骨軟部腫瘍細胞株の樹立にも取り組んでおり、軟部明細胞肉腫細胞株FCCS-1を樹立した。FCCS-1の性状について検討し、現在、欧文学術誌に投稿中である。本研究で得られた結果をもとに、他の悪性骨軟部腫瘍における、COX-2過剰発現と予後の相関についての臨床病理学的検討を、さらに進めてゆく予定である。特に、リアルタイムPCR法を用い、腫瘍組織におけるCOX-2のメッセンジャーRNA発現について、定量的な評価も行う予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
PLoS One
巻: 9 ページ: e88035
10.1371/journal.pone.0088035