研究課題
若手研究(B)
活性型ビタミンD3の関節軟骨細胞分化制御に関する影響をin vivoの環境下で評価を行った。生後3-5日のマウス骨端部の軟骨細胞を単離、培養し、活性型ビタミンD3誘導体である1α,25-dihydroxy-2β-(3-hydroxypropoxy)vitamin D3(10-8 M)を7日間添加した。細胞を回収しType 1コラーゲンゲル中に細胞を均一に撹拌させ、ヌードマウスの皮下に細胞移植を行った。コントロールとして、非添加群の軟骨細胞を移植することにより形成されたペレットを組織学的に比較検討を行った。移植後4週では、両群とも一部軟骨細胞の肥大化及び骨化を認めたが、現段階では明らかな差を見いだすことが出来なかった。今後、濃度、培養条件の再検討を行うことや、さらに活性型ビタミンD3誘導体投与群で軟骨内骨化の遅延が起きていないかを探るため、移植後早期の段階(1週、2週)での組織学的検討を予定している。また、変形性関節症における活性型ビタミンD3の予防効果の検討として野生型マウスの右膝関節に、内側不安定型変形性関節症誘導モデルを作成し、上記活性型ビタミンD3誘導体を関節内に局所投与1回/週(1.65μg/kg)(n=3)を行った。コントロールには活性型ビタミンD3誘導体溶解液である中鎖脂肪酸溶液を関節内投与した群を作成した。術後4週、及び8週評価群を作製したが、結果として活性型ビタミンD3誘導体投与群ではコントロール群と比較して経時的に著明な体重減少が起こった。術後4週群において血中Ca濃度を測定すると、活性型ビタミンD3誘導体投与群では高Ca血症を認めていた。これらの結果をふまえ、活性型ビタミンD3誘導体の局所投与1回/週(0.2μg/kg)に減量し評価を開始した。現段階で、投与後著明な体重減少や高Ca血症は認めていないため引き続き組織学的評価を中心に行っていく予定である。
4: 遅れている
変形性関節症における活性型ビタミンD3の予防効果の検討として野生型マウスの右膝関節に、内側不安定型変形性関節症誘導モデルを作成し、活性型ビタミンD3誘導体を関節内に局所投与を行った実験系では、過去にin vivoの実験系で活性型ビタミンD3、及びその誘導体を局所投与した研究はなく参考に出来るデータがなかったため、その他、投与法の異なるin vivoの研究での濃度を参考に濃度設定を行ったが、結果として当初設定した局所投与の濃度が高く、高Ca血症の副作用が起こってしまった。再度高Ca血症等の副作用の起こらない濃度の検索に時間を要したことが大きな原因と考えている。
活性型ビタミンD3誘導体の関節内局所投与における内側不安定型変形性関節症予防効果の検討実験では、高Ca血症が起こらない濃度で今回検索した濃度である局所投与1回/週(0.2μg/kg)で組織学的評価を中心に引き続き進めていく。また、活性型ビタミンD3の関節軟骨細胞分化制御に関する影響をin vivoの環境下で評価する実験系である、活性型ビタミンD3誘導体pretreatment後軟骨細胞移植実験では、、濃度、培養条件の再検討を行い、さらに活性型ビタミンD3誘導体投与群で軟骨内骨化の遅延が起きていないかを探るため、移植後早期の段階(1週、2週)での組織学的検討を免疫組織学的検索を含めて行う。今後は活性型ビタミンD3によるin vitroでの軟骨細胞分化制御機構の解明も進めていく。マウス骨端部の軟骨細胞を単離、培養し、活性型ビタミンD3誘導体添加後のRNAを経時的に回収し関節マーカーとしてLubricin/PRG-4、その他の軟骨細胞分化マーカーとして、Type 2コラーゲン、Type 9コラーゲン、アグリカン、Type 10コラーゲン、Runx 2, ALPの発現変化の発現量をReal time RT-PCR法を用いて評価する。
本年度に予定していた、活性型ビタミンD3による軟骨細胞分化制御機構の解明研究としてin vitroの実験が遅れていたため、その実験に必要な備品、消耗品の購入をしていなかったため。in vivo実験における免疫組織学的研究に必要な各種抗体(Erg、 type2コラーゲン、 type10コラーゲン、Lubricin等)の購入や、ヌードマウスの購入に使用する。また、研究成果の発表や投稿準備のために使用することを計画している。
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