研究課題
進行性骨化線維異形成症(Fibrodysplasia Ossifications Progressiva;FOP)は全身の骨格筋で異所性骨が形成される難治疾患である。典型的FOPでは筋損傷が急激な異所性骨形成を誘導するため、バイオプシーや手術などの侵襲的医療行為が禁忌である。これは BMPのI型受容体である変異ALK2(R206H)の活性異常が原因とされている。そこで、新たにCre-loxPシステムで誘導性にヒトALK2(R206H)を発現するTgマウスを樹立した。このマウスの後肢骨格筋組織から単核細胞を分離し、以下の実験に使用した。調節した細胞にCre DNA組換え酵素を発現するアデノウイルスを感染させる事で、mRNAおよびタンパクレベルでウイルスの用量依存的にヒトALK2(R206H)の発現を誘導させた。そして、ALK2の下流の転写因子Smad1/5を解析したところ、Smad1/5のリン酸化が誘導された。さらに、BMPの初期応答因子であるId1,Id2遺伝子の発現上昇も認められた。本研究によりin vitroでヒトALK2(R206H)による細胞内シグナルを解析できる新しい実験系を樹立することに成功した。また、我々は筋芽細胞C2C12細胞に典型的ヒトALK2 (R206H)または非典型ヒトALK2 (G325A)をII型受容体と共発現させる事でFOPの発症メカニズムを解析した。典型的ヒトALK2 (R206H)はBMPR-IIで活性されるのに対し、非典型ヒトALK2 (G325A)は別のII型受容体であるActR-IIBにより活性化された。これよりII型受容体による変異ALK2の活性が、FOPにおける症状の多様性に関与すると考えられた。この知見は今後のFOPの発症機序の解析や治療方法の開発に大きく貢献するものと期待される。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (4件) 備考 (3件)
Mol Endocrinol
巻: Jan;29(1) ページ: 140-52
10.1210/me.2014-1301.
J Dent Sci Rev
巻: May;52(2) ページ: 42-50
10.1016/j.jdsr.2014.09.004
Biochem Biophys Res Commun
巻: Dec 12;455(3-4) ページ: 347-52
10.1016/j.bbrc.2014.11.012
Sci Rep
巻: Dec 23;4 ページ: 7596
10.1038/srep07596
http://www.saitama-med.ac.jp/genome/Div04_PPhysiol/index.html
http://fop.umin.jp/
http://www.saitama-med.ac.jp/medlinks/saitama_univ_fop/