研究実績の概要 |
(1)骨軟部腫瘍の手術検体を用いた網羅的タンパク質発現解析を行い、バイオマーカーとしてGISTでKCTD12, KCTD10, DDX39、滑膜肉腫でSCRN1、Ewing肉腫でNPM1、類上皮肉腫でCAPZB、骨肉腫でPRDXファミリー(特に PRD2X, PRDX 6)タンパク質等を同定した。引き続き検証を進める。 (2)バイオマーカーの臨床応用を目的とした国内海外大規免疫染色検証においては、GISTでKCTD12, KCTD10, DDX39、Ewing肉腫でNPM1、類上皮肉腫でCAPZB、において免疫染色の検証を行い、発現において有意差を確認した。引き続き検証を進める。 (3)同定されたタンパク質の機能解析については、GISTでKCTD12, KCTD10、滑膜肉腫でSCRN1、Ewing肉腫でNPM1、類上皮肉腫でCAPZBの発現調整下において、細胞増殖能が有意に変化することの確認に成功した。またそれら、発現調整下で変化するタンパク質リストとPathway解析による上流制御タンパク質リストの同定にも成功した。引き続き検証を進める。 (4)組織型特異的融合遺伝子に基づいたタンパク質発現解析については、GISTのKIT遺伝子や各種融合遺伝子( Ewing肉腫_EWS/FLI1, 滑膜肉腫_SYT/SSX, 横紋筋肉腫腫_PAX3-FOXO1, 胞巣状軟部肉腫_ASPL‐TFE3等)に対し融合遺伝子発現調整下のタンパク質発現プロファイルの獲得に成功し、Pathway解析による上流制御タンパク質リストの同定にも成功し、それらタンパク質と細胞増殖の関係を確認した。引き続き検証を進める。 (5)GISTのKCTD12遺伝子における変異探索については、手術検体より抽出したDNAをの遺伝子変異解析を行い、その情報と臨床情報・pfetinの発現との相関を比較した。引き続き検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、GISTにおける腫瘍遺伝子であるKITや各種融合遺伝子(Ewing肉腫においてEWS/FLI1, 滑膜肉腫においてSYT/SSX, 横紋筋肉腫腫に対してPAX3/FOXO1, 胞巣状軟部肉腫に対してのASPL/TFE3等)の各種腫瘍細胞系に対して融合遺伝子(腫瘍遺伝子)の発現抑制下の制御タンパク質の発現プロファイルを獲得することに成功した。しかしながら機能解析の部分で若干研究計画より遅れているため、次年度使用額が生じている。H27も補助事業期間延長を申請し引き続き本研究テーマの研究を進める。
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