研究概要 |
変形性膝関節症(膝OA)の骨棘は,関節軟骨辺縁近傍の滑膜に存在する間葉系幹細胞が成長軟骨の内軟骨骨化に類似し,軟骨そして骨へと分化し発生する. しかし,その分子レベルの機序は多くが不明である. パールカンは,軟骨や滑膜の細胞外基質に存在するヘパラン硫酸プロテオグリカンであり,細胞増殖や成長因子そして細胞と受容体との結合など,細胞機能全般の保全に必須の分子である. しかし,膝OAにおける機能解析は進んでいない. 本研究は,膝OAの骨棘形成に焦点を絞り,その中でも特に後期の血管侵入過程に着目し,関節軟骨辺縁の滑膜に発現するパールカンによる骨棘形成中期・後期の病態解明の研究を行っている. 25年度は,主にin vivoの解析を中心とし,骨棘内でのパールカンの機能について解析を行った.関節内では軟骨にのみパールカンを発現し,滑膜にはパールカンを発現しないマウス(Hspg2-/-Tg)と同腹のパールカンワイルドマウス(Hspg2+/+Tg)を対象マウスを用いて実験を行った.形態学Hspg2-/-Tg的解析により,コントロールマウスでは骨棘は8週・12週と成長する一方,Hspg2-/-Tgマウスでは骨棘は成長しなかった.コントロールマウスでは骨棘内の軟骨細胞の細胞周囲にパールカンの発現が整列して見られたが,Hspg2-/-Tgマウスではその発現は低くかった.この結果をもとに骨棘形成の分子生物学的機構の解析を26年度も継続する.
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