昨年度の研究により、in vivoおよびin vitroにおいて筋芽細胞に破骨細胞形成促進作用があることが示された。さらに、FOPの原因遺伝子である恒常活性型BMP受容体[ALK2 (R206H)]の導入により筋芽細胞の破骨細胞形成促進作用が亢進することが示された。またその因子が液性因子であることが示唆された。今年度は筋芽細胞から産生される破骨細胞形成促進因子の同定とその機序について検討した。破骨細胞形成促進作用のある因子の筋芽細胞における発現について、ALK2 (R206H)の導入による影響をDNAマイクロアレイデータより解析した。さらに定量的リアルタイムPCR解析により、ALK2 (R206H) の導入は筋芽細胞においてTGF-βの発現を増加させることが示された。ALK2 (R206H)導入筋芽細胞の培養上清による破骨細胞形成促進作用は、TGF-βシグナル阻害剤およびTGF-β中和抗体により抑制された。さらに阻害剤をもちいた検討により、TGF-βはALK5およびp38 MAPキナーゼを介して破骨細胞形成を促進することが示された。それらの阻害剤による破骨細胞形成促進作用はin vitroおよびin vivoでも観察された。今回の検討により、活性型ALK2 シグナルは筋芽細胞からのTGF-βの発現を増加させ、ALK5およびp38 MAPK を介して、破骨細胞分化を促進することが示唆された。
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