研究課題/領域番号 |
25861348
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研究機関 | 公益財団法人実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
小牧 裕司 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (10548499)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | functional MRI |
研究実績の概要 |
これまで疼痛の評価としては、外界刺激に対する行動学的指標が広く用いられてきた。しかしこれらの手法は観測者の主観的要因を排除することが難しく、客観的評価が難しい。そこで我々は、疼痛を客観的に評価するためにfunctional MRIによるマウスの脳活動計測法を確立し、外科処置による神経因性疼痛モデルの脳活動の異常分布を明らかにしてきた。 今年度は、遺伝子改変技術を用いたMusashi2遺伝子欠損マウスを対象としてfunctional MRIを計測した。同腹子の野生型マウスでは一次感覚野にのみ活動を認める触覚様刺激を、Musashi2遺伝子ホモ欠損マウスへ適用したところ、ペインマトリックスに属する前帯状回皮質(Anterior Cingulate Cortex) や視床(Thalamus)に賦活を認め、行動的兆候と共にallodynia モデルの特徴を示すことが確認された。Musashi2遺伝子ホモ欠損マウスは、Musashi2の標的遺伝子の一つである神経軸索進展促進因子Pleiotrophinの減少により、発達段階において感覚神経線維 (Aβfiber) の投射に異常が見られ、allodynia 様の表 現型を呈すことがすでに知られており、触覚様刺激による神経活動の異常伝達が疼痛の原因であると示唆される。 疼痛モデルの創薬研究において、従来の行動解析だけでは観察者の主観的要因を排除することが難しいが、本手法を用いることで客観的な評価が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り進展している。 本研究成果について国内外の学会にて報告するとともに、国際誌へ論文を投稿し広く貢献する。
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今後の研究の推進方策 |
今後、疼痛モデルマウスに対して投薬による介入試験を行い、治療過程における脳活動を明らかとすることで、創薬に役立てる。 また、これまでの成果を国内外の学会にて報告するとともに、国際誌へ論文投稿し、再生医学へ広く貢献する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、試薬等の物品費へ充当する予定であったが、当施設の在庫が十分にあり使用期限の点から購入を見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
購入を見送った試薬など物品費へ充てる。
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