老化マウスではNGFR(神経成長因子受容体)陽性の筋衛星細胞(骨格筋幹細胞)の割合が顕著に低下する。NGFR陰性筋衛星細胞に比べNGFR陽性筋衛星細胞で高い増殖・分化能が認められ、リガンドであるNGFを添加することによりさらにその能力が促進されたことから、筋衛星細胞におけるNGFRの発現とそのシグナルの重要性が示された。NGFRの発現は遅筋に付随する筋衛星細胞でより高い傾向にあり、局在異常を示す筋衛星細胞でより低い傾向にあった。以上の結果から、筋線維の収縮や代謝特性がNGFRの発現制御に関わり、加齢に伴う局在異常によるNGFRの発現低下が筋衛星細胞数の減少に関わる可能性が示唆された。
|