研究課題/領域番号 |
25861354
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
工藤 隆司 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (40613352)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ロボット支援下手術 / 眼動脈血流 / 視神経鞘 / 視覚誘発電位 |
研究概要 |
ロボット支援下手術において、眼動脈血流、さらに網膜中心動脈、上眼静脈の流速を超音波を使用して継時的に計測した。 どの症例においても頭低位後では流速の低下がみられた。ただし、測定する際、毎回同じ血管の流速を測定できているかは、プローベの角度、位置などの技術的要素で不安な点もあるため、新たに視神経鞘の径も併せて測定することにした。その結果、視神経鞘の径も頭低位後は増加することが確認された。さらに視覚誘発電位も測定することにした。視覚誘発電位でも頭低位後は潜時の延長が認められた。いずれの項目も、コントロ-ル値を測定後、頭低位後30分毎に測定し、頭低位解除後は5分毎に測定した。また、血圧、心拍数、中心静脈圧、心拍出量、終末期呼気炭酸ガス濃度、脳波もモニタリングしている。 これらの所見は、頭蓋内圧亢進状態であることを反映していることが過去の文献から確認されている。流速低下、視神経鞘径増大、視覚誘発電位の潜時延長は、いずれも頭低位を解除したあとはコントロール値にほぼ戻る傾向を示した。 以上のことから、ロボット支援下手術における気腹、高度頭低位は、頭蓋内圧亢進、眼の血流低下、眼圧上昇、視神経系への影響など、予想した通りの影響がある可能性が示唆された。 ただし、現状ではロボット支援下手術の症例数が限られており、症例があったとしても人員的問題で毎回その手術に立ち会うことが難しいため、種々の測定ができた症例数はまだ少ない。さらに症例数を増やし、各測定項目の変化の傾向、また、循環動態、脳波所見との関連性を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在は手術室勤務であるが、科研費取得後、集中治療室勤務であったため、手術室での勤務機会が少なかったこと、また、ロボット支援下手術の症例数が限られていること、ロボット支援下手術がある場合でも、人員不足のため、必ず自分がロボット支援下手術に従事できるとは限らないことにより、まだ症例数が不足している。
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今後の研究の推進方策 |
眼動脈血流、視神経鞘径、視覚誘発電位の変化の傾向をさらに症例数を増やして把握し、血圧、心拍数、中心静脈圧などの値との関連性も検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費交付後、購入予定であった血流を測定するための超音波機器が発売中止となり、購入不可であった。そのため、他部署にある機器を実験日のみ借りて代用させ、血流を測定する流れとなった。その後、新たに、視覚誘発電位の潜時の値が、頭低位による脳圧亢進、眼圧上昇、血流低下を反映して変化する可能性を考え、視覚誘発電位に使用する機器、ソフトウェアなどを購入したが、それらの額が当初購入予定であった機器の購入額に満たなかったため。 視覚誘発電位測定に使用する針電極、測定記録を電子ファイルとして保存しておくための記録媒体、記録を印刷するための用紙などの購入に充てる予定である。特に針電極は、患者への感染の懸念を考慮すると、毎回新しい電極を使用したほうが良いと思われ、測定の度に新品を購入する予定である。また、視覚誘発電位を測定するためのソフトウェアをインストールしているパソコンのオペレーティングシステムのサポートが終了したため、新たにそのソフトを再インストールするためのパソコンの購入にも充てる予定である。
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