研究課題/領域番号 |
25861356
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
松岡 宏晃 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10637119)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 徐放薬 / α2受容体 / 神経障害性疼痛 |
研究概要 |
α2アドレナリン受容体作動薬は、脊髄後角に作用して神経障害性疼痛に抑制し、欧米では鎮痛薬として使用されている。申請者らのグループはこれまでにDrug Delivery Systemを応用し、生体内分解材料を用いて徐放化局所麻酔薬を作成してきたが、2010年頃よりシート状のクロニジン徐放薬を作成している。今回はクロニジン徐放薬の鎮痛効果や副作用について、ラット神経障害性疼痛モデルを用いて検討することを主たる目的とした。並行して臨床応用を念頭に置き、より注入しやすい小型の粒子状の徐放薬の開発を進めている。長期の鎮痛を必要とする患者に対し少ない投与回数で、効果的で副作用の少ない治療法を確立することを目指す。 ・クロニジン徐放薬の神経障害性疼痛への効果 クロニジン徐放薬をラット神経障害性疼痛モデル(spinal nerve ligation: SNL)の硬膜外腔に投与してアロディニアや痛覚過敏に対する長期効果(投与後28日まで)を調べた。また、クロニジン徐放薬の硬膜外投与後の鎮痛作用がある時点でα2受容体拮抗薬を髄腔内投与し、その効果がα2受容体を介するものであることを調べた。 効果としては1週間程度の鎮痛効果を認め、α2受容体拮抗薬投与により鎮痛効果が拮抗された。 ・クロニジン徐放薬の効果・副作用 クロニジン徐放薬の副作用については、徐放薬を動物モデルに硬膜外投与した後に、過鎮静、過度の血圧低下などの循環動態への影響がないか、もしあればどのくらい持続するかどうか調べたが、過度の鎮静効果や血圧低下、脈拍数の低下は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では鎮痛効果の確認のために脊髄後角における免疫染色を行う予定であったが、徐放薬の作製が思い通りに行かず計画が滞ってしまった。 徐放薬作成がうまくできるようになれば今後の計画も順調に進むと考えらる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に達成できなかった計画と並行して、徐放薬の副作用・安全性の試験として投与後にrota rod試験によって鎮静や協調運動の評価を行う。観血的動脈圧測定による循環動態の変化、血中濃度測定、投与部位神経(脊髄)毒性についての病理組織学的検討を行う。臨床応用に有利な粒子型徐放薬の開発 W-O-Wemulsion法によって薬剤を作成する。薬剤及びポリマーをそれぞれ溶媒(種類については要検討)に溶かし、外水層であるポリビニルアルコール溶液に注ぎながらホモジナイザーでエマルションを作成後、液中乾燥を行う。完成した溶液を凍結乾燥させて徐放粒子を得るが、作成法については適宜変更していく予定である。 ヒトにおける臨床試験の準備 ラットで痛みに対する効果が確認されて、副作用がないことが分かれば、ヒトでの臨床試験の準備を進める。既にリドカイン徐放薬のヒトでの臨床試験を行っており、応用可能である。
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次年度の研究費の使用計画 |
徐放薬の作製がうまくできなかったこともあり、実験が滞ってしまい実験動物や使用する予定だった薬剤の購入ができなかった。 初年度に計画した実験については今年度の計画と並行して行っていく予定であるので、初年度に使用できなかった分は今年度に使用可能である。
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