研究実績の概要 |
α2受容体作動薬は脊髄後角のα2受容体に作用し、神経障害性疼痛を抑制するため、欧米では鎮痛薬としても使用されている。申請者らのグループはこれまでに生体内分解材料を用いて徐放化局所麻酔薬を作成してきたが、2010年頃より、シート状のクロニジン徐放薬を作成している。作成したクロニジン徐放薬の鎮痛効果や副作用について、ラット神経障害性疼痛モデルを用いて検討することを主たる目的としている。それと並行し、臨床応用を念頭に置き、より注入しやすい小型の粒子状徐放薬の開発も進めている。長期間の鎮痛を必要とする患者に対し、より少ない投与回数で、効果的で副作用の少ない鎮痛法を確立することを目指している。 ・作成した徐放薬の徐放曲線 作成したクロニジン徐放薬をPBS溶液に溶解し、1,3,6,12,24,48,72,120,168時間でサンプルを回収し、高速液体クロマトグラフィーにより濃度測定を行った。1週間かけて徐々に放出される薬剤が作成できた。 ・クロニジン徐放薬の鎮痛効果と副作用 ラット神経障害性疼痛モデルの硬膜外腔にクロニジン徐放薬を投与し、アロディニアや痛覚過敏に対する長期効果(投与28日後まで)を調べ、1週間程度持続する鎮痛効果を確認した。また、その鎮痛後がα2受容体を介するものであることを確認するため、α2受容体拮抗薬であるイダゾキサンを投与し、鎮痛効果が拮抗されることも確認した。また、過鎮静、血圧低下・徐脈等循環動態への影響を調べたが、そういった副作用は認められなかった。
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