研究課題/領域番号 |
25861357
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
関本 研一 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90515090)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / Notchシグナル |
研究実績の概要 |
これまでの研究でマウス小脳神経前駆細胞にはNotch ligandの一種であるNotch 1とNotch receptorの一種であるJagged 1が発現しており、その標的遺伝子はHES 5が主でHES 1はほとんど標的になっていない事がわかっている。HES 1は神経細胞においては標的遺伝子として一般的であるが、マウス小脳神経前駆細胞では異なっていた。このため、マウス小脳神経前駆細胞ではNotch signalを介した伝達機構とその効果が他と違う物である可能性が示唆されている。Notchシグナルの神経系細胞共培養下での働きを調べる目的で、Notchシグナルを作用させることで、神経細胞やグリア細胞マーカー(Tuj1、NeuN、MAP2やGFAP、S100b)の分布や出現頻度が変化するのかどうかを免疫蛍光染色により解析した。Notchシグナルの作用方法は、Notch細胞内ドメイン(Notch intraceller domain : NICD)遺伝子を導入したAdeno virusを神経系細胞に感染させ、NICDを過剰発現させて直接作用させる方法と、Jagged1やDelta like ligand4を発現したマウスfibroblastと神経系細胞を共培養させて細胞接触作用させる方法で行なった。前回も報告したが、GFAP発現量はNICD過剰発現の細胞でも、共培養での細胞でも発現が確認された。さらに今回、その発現量が増加する事が確認できた。さらにNotch signalを過剰発現する事で細胞の中期(3-4日間)の生存率に影響が出る事がわかっている。細胞マーカの変化を観察するにあたっては、この時期の生存率を向上させる必要があり、まずは生存率向上のための神経成長因子の同定が必要であると考え、BrdUの取り込みを観察し各細胞種の分裂能に変化が起こるのかどうかを引き続きCNTFにて実験を繰り返したが、生存率の向上は認められなかった。また、EGFやBDNFにても同様の実験を行なったが生存率の向上は現時点では認められず、その他の方法にて生存率を向上させることが必要であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究にはNotch ligandを発現したマウス小脳神経前駆細胞の生存率向上が不可欠であるが、その方法が確立できていない。各種成長因子を用いて実験を繰り返しているが、いまだに生存率の向上が認められない。各種マーカーの発現については確認できている状況であるため、引き続き進めていく。また、当初計画書にもある通り、成長因子での生存率向上が認められない場合、低酸素暴露による方法など環境調整による方法も検討の余地があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
マウス小脳前駆細胞の各種マーカーの発現程度に関しては、引き続き確認を実施していく。生存率向上に関しては、引き続き各種成長因子を検討していく。また、当初計画書にもある通り、低酸素暴露による方法など環境調整による方法も実施をしていく。とくに環境調整による方法は低酸素の他、温度などのストレス因子の検討も行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究計画では生存率向上が得られた後に必要薬剤と必要機器の購入を検討していたが、生存率の向上が認められない為に必要機器の購入を見送ったために次年度への繰り越しとした。
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次年度使用額の使用計画 |
更なる成長因子の購入や低酸素暴露を可能とする装置の購入計画を必要とする。また、実験機器の更新が必要な物も数多くあり、そちらの更新もする予定である。
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