研究課題/領域番号 |
25861358
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
八代 英子 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70456028)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 呼吸困難感 / がん / 症状緩和 |
研究概要 |
1.がん性呼吸困難に対するTHAM静注の効果に関する研究 当院およびがん臨床研究支援センターのIRBにて承認されたプロトコールに基づいてがん性呼吸困難に対するTHAM静注の効果に関する研究を行った。呼吸困難のある2例のがん患者より同意が得られた。1例目は、トロメタモール 0.3 mol/Lを1日1回1日間、日中の呼吸困難時に20分間、0.2ml/kg/分の速度で点滴静注を行った。観察期間中にCTCAE グレード3以上の有害事象は認められなかった。試験薬投与終了後、第32日目に永眠された。原病死と考えているが、効果安全性評価委員会での審査を待っている状況である。2例目は、二次登録(症例登録を症状が軽度な段階での一次、呼吸困難増悪後の二次の二段階で行っている)当日に、プロトコールの除外基準にあてはまる肝機能障害が認められたため、登録を見合わせることとなった。意識レベルを低下させることなく、がんによる呼吸困難を緩和させる治療法を開発することは、がん患者のQOL改善のためにも不可欠と考えられるため、症例確保が難しい状況であるが今後も継続する必要がある。 2.睡眠と呼吸の関係に関する研究 がん終末期では呼吸に影響しうる鎮痛薬、睡眠薬を頻用することもあり、呼吸状態の評価は重要であるが、どの時点まで評価すべきか、問題となる呼吸抑制について明らかになっていない。今年度は、①センサーマット型、体動センサ型睡眠計、②携帯用睡眠時無呼吸検査装置SAS-2100を用いて予備調査を行った。①どちらの睡眠計においても、十分な呼吸状態の測定は困難と考えられた。②オピオイド使用中のがん患者において、予想よりも遅れて呼吸抑制が生じている可能性が認められた。がん患者に鎮痛薬、睡眠薬使用時の、適切な呼吸状態評価を行うため、がん患者を対象とし、睡眠と呼吸状態に関する観察研究のプロトコールを作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.がん性呼吸困難に対するTHAM静注の効果に関する研究 二次登録の適格基準をNRS6以上の呼吸困難のある、2週間以上の生存が期待されるがん患者としたことにより、実際に呼吸困難がNRS6以上となった際には、2週間以上の予後を期待することが難しいことが多く対象の確保に難渋しているため、やや遅れている。 2.睡眠と呼吸の関係に関する研究 当初予定していた装置の購入が困難となり、適切な装置を選択するまでに日数を要したため、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1.がん性呼吸困難に対するTHAM静注の効果に関する研究 安全に臨床研究を行えるよう注意しながら、院内での広報を行うことで、今まで以上に対象の確保につとめる。 2.睡眠と呼吸の関係に関する研究 早急にプロトコールを完成し、倫理委員会にて審査を受ける。承認後、プロトコールに基づいて研究をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた装置の購入が難しくなったため、適切な装置の確保に時間を要したこと、また予定していた学会への参加ができなくなったことによる。 新たに購入した装置の消耗品や、臨床試験の広報に経費が必要となる。また、次年度以降の学会参加の経費として使用する。
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