1.がん性呼吸困難に対するTHAM静注の効果に関する研究 平成25年度に発生した被験者の試験薬投与終了後第32日目の死亡に関して、当院治験審査委員会およびがん臨床研究支援センター効果安全性評価委員会における審査により、試験継続可と判断され、がん性呼吸困難に対するTHAM静注の効果に関する研究は継続可能となった。しかし、分子標的薬に伴う肺障害による呼吸困難の患者も多く、予測予後の評価がより困難となっていること、在宅療養を行う患者の増加などから症例確保が難しい状況が続いている。プロトコールの変更も検討したが、安全に本臨床研究を継続するためには、変更を行わないほうが判断した。しかし、今年度も症例確保は進まなかったため、本研究の継続は困難と判断し、終了の手続きを進めている。 2.睡眠と呼吸の関係に関する研究 「担がん患者における鎮静・鎮痛薬の呼吸への影響」に関する観察研究のプロトコールを作成し、医学部倫理審査委員会にて承認された。平成26年度は、5名の被験者より同意が得られ、生体情報を収集、分析ソフトを用いて解析を行った。鎮静薬、鎮痛薬の使用により、無呼吸指数、無呼吸低呼吸指数の変化は認められなかったが、分析ソフトを用いた解析の限界が指摘され、解析方法の検討を行い、症例確保を進めている。 3.送風によるがん性呼吸困難緩和効果に関する観察研究 呼吸困難を緩和させるケアの一つとして送風があげられており、がん患者においても有効な可能性が示唆されている。しかし、使用方法、指導方法は統一されておらず、有効な使用方法は明らかになっていない。そこで、がん性呼吸困難患者を対象とし、通常の治療に加え、小型送風機を用いた場合の経過について、観察研究を行うためのプロトコールを作成し、現在修正中である。
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