研究課題/領域番号 |
25861361
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
里元 麻衣子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10611551)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 幼若脳 / 麻酔薬 / アポトーシス |
研究実績の概要 |
セボフルランを含む麻酔薬の投与により、発達段階のげっ歯類の中枢神経細胞でアポトーシスを起こすなどの毒性があることが明らかとなっているが、治療法はいくつか提示されているものの、完全に明らかになっていない。一方間葉系幹細胞の投与が、中枢神経系に対して、組織の再生を促す効果があることが示されてきており、麻酔薬の毒性に対しても治療的な効果があるのではないかと期待される。本研究では培養細胞系ならびに新生仔ラットを用いた実験モデルにより、骨髄由来の間葉系幹細胞がセボフルランの持つ幼若神経細胞への毒性に対して、予防的または治療的な効果があるかどうかを検討することを目的としている。 平成25年度には当初科研費で平成25年及び26年の2年間で実施する予定であった以下の2つの実験を終了した(1.ラット胎仔神経細胞とラット骨髄間葉系幹細胞の共培養系を用いた検討および2.in vivo新生仔ラットモデルにおける骨髄間葉系幹細胞の予防・治療的効果の検討)これら2つの検討から幼若神経細胞への麻酔毒性に対して、骨髄間葉系幹細胞の予防効果については、炎症反応は抑えるものの神経毒そのものは抑制できなかったと結論が出来た。この結果については平成26年度に論文が受理された。 しかしながら平成25年に神経毒を抑制できる効果的な薬剤を同定できたため、平成26年度はその薬剤を用いた神経毒抑制効果についての研究を行った。 具体的にはNADPH-oxidase 阻害薬であるapocyninは幼若期セボフルラン麻酔により引き起こされた神経アポトーシスと成長後の学習低下には治療効果があることを解明した。実験結果をまとめ、anesthesiology誌に投稿したところ、追加実験の指摘を受けたため、追加実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
科研費で計画していた研究計画は平成25年度のうちに明らかにすることが出来た。その内容を論文にまとめて平成26年に受理された。また、麻酔薬の神経毒に対する治療法の開発としてNADPH-oxidase 阻害薬であるapocyninを見出し、実験を終了し、結果をまとめて投稿したところ追加実験の指摘を受け、現在行っている。
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今後の研究の推進方策 |
麻酔薬の神経毒に対する治療法の開発としてNADPH-oxidase 阻害薬であるapocyninを見出し実験を行い、結果をまとめて専門雑誌に投稿したところ追加実験の指摘を受けた。そこで平成27年度は追加実験を施行すること、内容をまとめて再度論文として投稿すること、また研究成果を国内外の学会で発表することを計画している。追加実験を行う内容についてはすでに議論済みであり、Western blot analysisおよび行動実験の追加実験を行う。その後速やかに論文をまとめ、国内外に広く報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
「産前産後の休暇又は育児休業による中断」承認日:H27.3.2
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次年度使用額の使用計画 |
追加実験を予定している。具体的にはWestern blot analysisおよび行動実験の追加実験を行う。その後速やかに論文にまとめ、国内外に広く報告する予定である。
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