全身麻酔からの覚醒時に筋弛緩薬の拮抗目的でコリンエステラーゼ阻害薬を投与することが多いが、副作用であるムスカリン作用を阻害する目的で抗コリン薬のアトロピンがやむを得ず合併投与される。高齢者では脳内のコリン活性の低下を認めることが多く、アトロピンが覚醒遅延を惹起したり、術後意識障害、術後せん妄の一因であることが推測されている。これまでアトロピンが脳血管内皮機能に与える影響に関する報告がなく、これを申請者らが有するラットを用いたCranial Window法を用いて評価したが、アトロピンの脳血管内皮機能への影響は確認できなかった。
|