研究実績の概要 |
European Malignant Hyperthermia Groupによって認定された1型リアノジン受容体の変異遺伝子子p. Thr2206Arg, 健常人から報告された一塩基多型のp. Gln3756Glu,この両方を導入したp. Thr2206Arg+Gln3756Glnの3種類の変異遺伝子について受容体機能を解析した。 p. Thr2206Argは1型リアノジン受容体機能の評価試薬であるカフェイン、クレゾールに対する反応が亢進しており、実験系の妥当性が検証された。一方、健常人で報告された一塩基多型であるp. Gln3757Gluは野生型と同程度の受容体機能であった。p. Thr2206Arg+Gln3756Glnは著しく受容体機能亢進しており、p. Thr2206Argと比較してもさらに受容体機能が亢進していた。 臨床では、悪性高熱症は比較的緩やかに発症する症例と急激に症状が増悪する劇症型が混在することが報告されている。これまではその理由として吸入麻酔薬への暴露状況の違いが考えられていたが、本研究により変異遺伝子の違いによって異なる病態がもたらされる可能性が示唆された。また、これまで1型リアノジン受容体は単一の変異遺伝子のみの機能解析が行われてきたが、複数の変異遺伝子によってもたらされる機能についてのさらなる研究の必要性が示された。
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