研究実績の概要 |
喘息モルモットを作成して, 喘息発作時のレミフェンタニル同時投与下の吸入麻酔薬セボフルラン, プロポフォール・ミダゾラムの影響を in vitro および in vivo で観察した。①喘息モルモットの作成と発作の誘発:セボフルラン麻酔下で,雄の Hartley モルモット(250g)を使用しオバラミン(2×0.5mg/ml)を1週の間隔をあけて腹腔内に投与し,2週間後にオバラミンを吸入(10ml×1mg/ml,10 分) し発作を誘発(ほぼ100%)しえた。②張力の測定:モルモットから気管・肺組織を摘出後,顕微鏡下で愛護的に気管組織を単離する。気管リング標本に張力トランスデューサを取り付け,37℃の恒温槽内で張力を測定した。ムスカリン受容体刺激薬カルバコールにより収縮を得た。それぞれの麻酔薬における喘息モデルの気道弛緩効果はセボルフランで高くプロポフォールとミダゾラムで同じであった。予備実験の結果と同様に上記濃度のレミフェンタニルの添加でも、この弛緩効果の修飾はみられなかった。③気道抵抗の測定:気管切開を行いカテーテルを挿入・仰臥位とし, 人工呼吸を行った。胸腔内圧を測定するため, 食道内にカテーテルを挿入した。気道内圧と胸腔内圧を経時的に測定することにより, 気道抵抗と全肺コンプライアンスを同時測定した。内頸静脈にカテーテルを挿入し,不動化し抵抗とコンプライアンスが一定した後, レミフェンタニル投与有無の条件下で吸入麻酔薬セボフルラン,プロポフォールまたはミダゾラムを投与しながら, アセチルコリン(10-8から 10−5M)を漸増的に投与し,相乗的な気道収縮抑制効果を観察した。オピオイドの併用で、それぞれの麻酔薬の弛緩効果は増強されたが特にプロポフォールおよびミダゾラムとの組み合わせで弛緩効果の増強が大きかった。
|