神経障害性疼痛形成において免疫細胞に由来する液性因子を介した神経炎症の重要性を提唱してきたが、疼痛慢性化機序は明らかでない。本研究では、慢性疼痛におけるMMP12の役割について検討した。部分結紮後坐骨神経においてMMP12の発現が増加し、傷害部位周囲のマクロファージに局在していた。LPS活性化マクロファージにおいてMMP12 の発現増加が認められた。マクロファージ枯渇薬またはMMP12阻害薬の神経周囲投与により部分結紮による触アロディニアおよび熱痛覚過敏が軽減された。以上の結果より、マクロファージに由来するMMP12は慢性疼痛機構の解明における重要な新規メディエーターとなる可能性が示唆された。
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