前立腺癌の進展過程において神経周囲浸潤(PNI)は、重要なメカニズムであるが、その分子機構は不明である。本研究では、PNIに関与する前立腺癌細胞側の責任分子としてインテグリンα6とラミニン結合糖鎖(LNBG)をファージディスプレイスクリーニングと種々の分子生物学的実験を用いて同定した。前立腺癌細胞は、神経周膜細胞が分泌するStromal derived Factor-1により、その遊走能が亢進し、インテグリンα6を介して神経周膜細胞に接着するがLNBGの発現が亢進した細胞では、浸潤能が低く、前立腺癌細胞上のインテグリンα6の発現亢進とLNBGの合成減少が神経周囲浸潤に重要であることを示した。
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