研究課題/領域番号 |
25861409
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
井上 高光 秋田大学, 医学部, 講師 (60375243)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 骨転移 / 去勢 / 破骨細胞 / マウス |
研究概要 |
「ヒト前立腺癌細胞株PC-3のBalb/c nude マウス心注による骨転移モデルの作成」5週齢のBalb/c nudeマウス心臓にPC-3M lucC6を注入し、骨転移の出現をIVIS systemで追跡した。PC-3の骨高転移株であるPC-3M lucC6を左心室内投与したところ、全身に循環するPC-3M lucC6を観察した。3週で骨転移の出現を確認した。同部位に生体CTでの融解像を認めた。マウスをsacrificeし、同部位をHE染色で観察すると、骨組織に隣接して腫瘍細胞の増殖を認めた。以上から、PC-3M lucC6の左心室内注入によるBalb/c nudeマウスの骨転移を証明できた。 「去勢Balb/c nudeマウスを去勢すると骨吸収が促進し骨塩量が低下するが、osteoprotegerinの投与で骨塩量の低下は防止できる」Balb/c nudeリタイアマウスを非去勢群、去勢群およびosteoprotegerin+去勢群に分け、週2回CTを撮影し骨密度の経過を追った。2週間後のマウス全骨密度は非去勢群で498mg/cm3, 去勢群で414.8mg/cm3, osteoprotegerin+去勢群で492.9mg/cm3と、去勢群は非去勢群に比較して有意に17%の骨塩量の低下を認めた(p = 0.034)。去勢群と去勢+osteoprotegerin群を比較すると、去勢群の骨塩量低下を相殺した (p = 0.010)。 「PC-3M lucC6のBalb/c nudeマウス左心室注入による骨転移は、マウスの去勢により促進し、osteoprotegerinの静注により抑制される」PC3M-luc-C6心室内投与3週後にIVISを使用し骨転移を形成した個体数、平均骨転移数、および平均Photon countsを計測した。骨転移発症個体数は、非去勢群11/21例(52.4%)、去勢群17/20例(85%)と去勢群で有意に多かった(p = 0.024)。また去勢群+OPG群10/19例(52.6%)は、去勢群に比べて骨転移形成個体数は少なかった(p = 0.028)。 また平均骨転移数は、去勢群に比べ去勢+OPG群で少なかった(p = 0.02)。さらに骨転移巣の平均photon countsは去勢群に比べて去勢+OPG群のほうが低かった(p = 0.041)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画の7割程度まで仮説の通りの研究成果が達成され、去勢抵抗性前立腺癌に対する去勢は骨粗鬆症を促進し骨転移を促進する現象が存在することは科学的に確認出来た。残りはその現象が分子生物学的にj破骨細胞におけるRANK-RANKLシグナルを介する説明される必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
マウス去勢による骨粗鬆症モデルにおけるRANK ligand増加、RANK発現増加の証明:マウスをsacrificeし、骨組織および血清を採取し骨組織や血清においてのRANK ligandの増加、骨組織のRANK発現の増加を免疫染色で証明する。去勢によるマウス去勢抵抗性前立腺癌骨転移の促進はosteoprotegerinによりRANKシグナル経路を介して抑制されることを証明:マウスから腫瘍組織を採取し、TRAP染色、Western BlotおよびRT-PCRを行い、RANK-RANKLシグナルを比較する。RANKシグナルが捉えられない時には、Cathepsin Kについても検討する。
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