研究課題
若手研究(B)
前立腺癌細胞株LNCaP、LNCaPから当研究室で樹立したandrogen非依存性株LNCaP-SF、androgen receptor (AR) 陰性のPC3、DU145とマクロファージ様細胞株THP-1、U937の共培養を行い、増殖や浸潤・転移能の変化を検証した。共培養は6-well transwell plate (BD Biosciences)を用いて行なった。細胞増殖は自動計測器にて測定した。遊走能assayは、24-well transwell plate (BD Biosciences)を用いて行なった。予想通り、AR陰性の前立腺癌細胞はマクロファージ様細胞との共培養で遊走能が有意に亢進した。また、マクロファージ様細胞の遊走能についても検討したところ、前立腺癌細胞との共培養ののち、遊走能が大きく亢進していることがわかった。共培養ののちそれぞれの細胞のRNAを採取し、腫瘍随伴マクロファージに関連するサイトカインであるCCL17の発現変化をPCR法にて評価した。マクロファージ様細胞との共培養ののち、AR陰性の前立腺癌細胞においてCCL17の発現が亢進していた。AR陰性の前立腺癌細胞株をサイトカインCCL2あるいはCCL17とともに培養し、遊走能の変化を評価した。これらサイトカインの添加により、AR陰性の前立腺癌細胞の遊走能が有意に亢進した。CCL17による前立腺癌の遊走能の亢進はこれまでに報告がなく、新たな治療ターゲットとなる可能性があり、さらなる研究促進が必要と考えられる。
2: おおむね順調に進展している
予定されていた実験の中で、一部未だ評価されていないものもあるものの、大筋の実験の流れは順調に進んでいると考えられるため。
マクロファージと前立腺癌細胞の相互作用におけるCCL2およびCCL17を介した前立腺癌の遊走能亢進について、どのようなメカニズムが介在しているかがいまだ不明であり、そのメカニズム(EMTに関連するシグナルE-cadherin, N-cadherin, Snail, Slug, MMP9, Vimentinなど)についてさらなる検証を行う。さらにヒト組織を用いた免疫組織学的な検討と、マウスを用いたin vivoの実験も行う予定である。
国内外の学会に参加するため旅費を計上していたが、使用しなかったため、残額が生じた。次年度は研究成果の発表のため積極的に国内外の学会に参加する予定の為、旅費に計上する予定である。また、引き続き試薬類等の消耗品を購入する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
EMBO Mol Med
巻: 5 ページ: 1383-1401
10.1002/emmm.201202367