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2013 年度 実施状況報告書

腎拒絶反応における脂肪由来間葉系幹細胞の免疫調整効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25861419
研究種目

若手研究(B)

研究機関大阪大学

研究代表者

加藤 大悟  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70648021)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード間葉系幹細胞 / 急性拒絶反応 / 腎移植
研究概要

【背景】脂肪組織由来であるAdipose Tissue-Derived Stem Cells (ADSCs)は骨髄組織と比較して幹細胞数が多く、高い免疫調整効果を有するという特長を持つ。また比較的容易に採取可能であり、移植領域における臨床応用が期待される体性幹細胞である。今回申請者は科研費(若手研究B)の助成を受け、以下の研究成果を得た。
【研究計画・方法】まずMixed Lymphocyte Reaction (MLR)により、ADSCsがレシピエントリンパ球増殖を抑制し得るかを検討した。次にラット腎移植急性拒絶反応モデルを作成し、2×106個のレシピエント系LEWラットより得たADSCsをドナー腎採取直前に腎動脈より動注した。移植後は生着率を検討するとともに、両群における移植腎の病理組織学的検討、RT-PCR法によるサイトカイン発現を検討した。
【研究結果】MLRにおいてADSCsは用量依存性にリンパ球増殖を抑制した。腎移植モデルでは、移植腎病理組織像において、間質への著明な炎症細胞浸潤を伴う対照群と比較し、ADSCs投与群ではこれらの所見は著明に改善し、CD4+、CD8+T細胞数も減少した。これらを反映して、ADSCs投与により生着率は7.7±1.3日と対照群(6.6±0.6日)と比較し有意に延長し、移植腎組織における炎症性サイトカインの発現も有意に抑制された。以上よりADSCsは、直接的あるいは間接的にT細胞に作用し、移植腎におけるT細胞の活性化や浸潤を抑制することで生着率を延長し得ることが示された。
現在Trans-Wellを用いたMLR/ADSCs共培養上清の検討により、免疫抑制効果を示すsoluble factorを網羅的に解析中である。今後は候補のsoluble factorを中心として、ADSCsのT細胞に対する作用機序を解明していきたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度研究計画(ラット腎移植急性拒絶反応モデルにおけるADSCsの拒絶反応抑制効果の検討)はおおむね検討できた。具体的な研究成果は研究実績の概要に記した通りである。

今後の研究の推進方策

今後はADSCsの分泌する免疫抑制作用を示すsoluble factorを中心として、ADSCsのT細胞に対する作用機序を解明していきたいと考えている。さらに平成26年度研究計画(ADSCsの組織障害抑制効果と制御性細胞誘導機序の解明)についても検討していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

先述の様に、平成26年度は免疫抑制作用を示すsoluble factorを検討するため、まずMLR/ADSCs共培養上清中サイトカイン、タンパクの網羅的検討が必要である。免疫抑制作用を示すsoluble factorが特定できれば、in vitro、in vivoにおける作用の解析を進めるため、ラット用のリコンビナントタンパクを作成する予定があり、平成26年度に多くの経費を必要とする。
MLR/ADSCs共培養上清中サイトカイン、タンパクの網羅的検討のため、ELISA法、Cyrometric Beads Arrray法、マイクロアレイ法などによる解析を行うために使用する。また大腸菌等によるリコンビナントタンパクの作成にも使用する。さらに研究に必要なラット購入費用、PCR関連試薬、RNA抽出試薬、遺伝子発現量測定試薬の消耗品に使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Adipose Tissue-Derived Stem Cells Suppress Acute Cellular Rejection via TSG-6 and CD44 interaction in a Rat Kidney Transplantation2014

    • 著者名/発表者名
      Kato T, Okumi M, Kakuta Y, Yanamaka K, Takahara S, Nonomura N
    • 学会等名
      World Transplant Congress 2014
    • 発表場所
      米国・サンフランシスコ
    • 年月日
      20140726-20140731
  • [学会発表] ラット腎移植モデルにおける脂肪組織由来間葉系幹細胞(Adipose Tissue-Derived Stem Cells)の免疫調整効果およびその作用機序についての検討2014

    • 著者名/発表者名
      加藤大悟、奥見雅由、山中和明、角田洋一、野々村祝夫
    • 学会等名
      第23回泌尿器分子・細胞研究会
    • 発表場所
      山形
    • 年月日
      20140314-20140315
  • [学会発表] Adipose Tissue-Derived Stem Cells Suppress Acute Cellular Rejection via TSG-6 and CD44 interaction in a Rat Kidney Transplantation2013

    • 著者名/発表者名
      Kato T, Okumi M, Nonomura N
    • 学会等名
      The 13th Congress of the Asian Society of Transplantation
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130902-20130906
  • [学会発表] ラット腎移植モデルにおける脂肪組織由来間葉系幹細胞(Adipose Tissue-Derived Stem Cells)の免疫調整効果についての検討

    • 著者名/発表者名
      加藤大悟、奥見雅由、山中和明、角田洋一、高原史郎、野々村祝夫
    • 学会等名
      第40回日本臓器保存生物医学会
    • 発表場所
      東京

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公開日: 2015-05-28  

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