研究課題
若手研究(B)
平成25年度は、REIC/Dkk-3タンパク質によるMDSC分化抑制の細胞内の分子機序について解析した。具体的には、①ヒトCD14 陽性PBMC細胞にGM-CSF/IL-6および外因性REIC/Dkk-3タンパク質を作用させた後、細胞内タンバク質を抽出し、また特異的siRNAによりREIC遺伝子をノックダウンさせ、各種のシグナリングパスウェイ分子の動態についてウエスタンブロット法により解析した。② 上記①のそれぞれの実験状態において細胞核内の標的遺伝子群(転写されるタンパク質群)の同定を行い、REIC/Dkk-3の骨髄前駆細胞の細胞膜上での結合分子・受容体の同定を試みた。また、①②で得られた結果を、MDSC・樹状細胞等の骨髄球系免疫細胞の分化誘導動態と併せて解析した。さらに、in-situ REIC/Dkk-3遺伝子治療および当該タンパク質を投与した際の、生体内でのMDSC分化抑制作用と抗癌免疫活性化作用の解明を目的として研究を行った。具体的には、REIC遺伝子を用いて遺伝子治療を実施した担癌マウスモデルの、血液中におけるMDSCを含む各種免疫担当細胞の出現頻度をフローサイトメトリーで解析し、血中の種々のサイトカインレベルをELISA法で測定した。精製REIC/Dkk-3タンパク質を腹腔内・静脈内に治療投与した実験系においても同様の解析を行った。また、抗腫瘍効果をリアルタイムin vivoイメージングシステムで解析し、mortalityの統計学的解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、REIC/Dkk-3遺伝子治療による癌免疫逃避の抑制機序を明らかにする為、MDSC等の骨髄球系免疫担当細胞の分化機序および制御メカニズムについて解析し、各種の知見を得た。
平成25年に引き続き、癌制御因子REIC/Dkk-3を用いた癌免疫逃避の抑制および癌ワクチン化療法の免疫学的基盤を確立する為の研究を実施する。
当初の予定より物品を安く購入できたため、未使用額が生じた。平成26年度は、平成26年度支払い請求分に本年度未使用分を宛がい、引き続き研究計画に基づき有効に適正に使用する。
すべて 2013 その他
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Oncol Rep.
巻: 31 ページ: 1089-1095
10.3892/or.2013.2958