研究概要 |
筋層非浸潤性膀胱癌の治療では、BCG膀胱内注入療法が高い効果を挙げている。しかし、治療に伴う副作用も多い。BCG膀胱内注入療法にかわる新たな治療法を開発すべく、私たちはこれまでの研究で、膀胱癌細胞に対し新規光感受性物質と長波長紫外線の併用により、高い殺細胞効果があることを証明した。しかし、光感受性物質の人体への安全性は確立していない。この研究課程で私たちは長波長紫外線単独でも癌細胞に治療効果を得ることができる可能性について結果を得ることができた。本研究では、長波長紫外線単独照射による殺細胞効果について異型度のことなる3種類の膀胱癌細胞株を用いWST-1 assayを行った。長波長紫外線の単独照射についてもコントロールと比較し、有意な殺細胞効果を認めた。また長波長紫外線による細胞死がアポトーシスであることについて研究を行った。膀胱癌細胞株に長波長紫外線を照射し、フローサイトメトリーおよび免疫染色を行った。膀胱癌細胞3種類ともにフローサイトメトリーおよび免疫染色においてもアポトーシスが誘導されていることが確認できた。次に長波長紫外線照射後の膀胱癌細胞の増殖能について検討した。照射後1,2,4,7日にdish上の細胞数をセルカウンター使用し計測した。対数関数を使用して増殖曲線を作成した。結果はコントロールと比較し、3種類すべての細胞において増殖能の低下を認めた。長波長紫外線による膀胱癌に対する治療効果は、培養細胞レベルでは確認できた。
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