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2013 年度 実施状況報告書

精巣内体細胞におけるDAX1の機能解析とアデノウィルスベクターを用いた臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 25861439
研究種目

若手研究(B)

研究機関名古屋市立大学

研究代表者

黒川 覚史  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50468253)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード造精機能障害 / DAX1 / アデノウイルスベクター / 精巣内体細胞 / セルトリ細胞 / ライディッヒ細胞
研究概要

私たちは、これまでに特発性造精機能障害患者の精巣内では転写因子DAX1の発現が低下していることを明らかにした。本研究では、精巣内体細胞における転写因子DAX1の機能解析とアデノウイルスベクターを用いた精巣内遺伝子治療への臨床応用を目指し以下の2つを行った。
i. DAX1発現アデノウイルスベクターの作製
a). ベクターのコンストラクト作製:サブクローニングによりプラスミド内で遺伝子配列を作製した。サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを使用した。DAX1とマーカータンパクeGFPを発現できるように、DAX1遺伝子の全長cDNAとeGFPのcDNAとの間にIRES (internal ribosomal entry site) 配列を挿入した。作製した目的遺伝子配列を非増殖性アデノウイルスのゲノムDNA内に組み込みアデノウイルスベクターを作製した。コントロールベクターとしてeGFPのみを発現するベクターも作製した。b). アデノウイルスベクターの精製とタイター調整:HEK293細胞内で増殖したアデノウイルスを培養細胞ごと回収し凍結融解により細胞壁を破壊したあと、Adeno-X Maxi Purification kit (Clonetech社) のカラムクロマトグラフィーで精製した。さらに、Adeno-X Rapid Titer kitを用いてタイター測定しウイルス溶液を調整した。
ii. 培養細胞におけるDAX1機能解析
セルトリ細胞として幼仔期由来のTM4細胞、ライディッヒ細胞として幼仔期由来のTM3細胞を用いた。アデノウイルスベクターによりDAX1の発現を亢進した際の遺伝子変化を定量RT-PCRで解析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DAX1発現アデノウイルスベクターの作製に時間を要した。特に、サブクローニングによる遺伝子配列の構築をする際、コンストラクトを維持したままプラスミドを増殖することが出来る条件設定に日程を費やした。具体的には、コンピテントセルの選定とミニプレップの温度調節である。
作製したアデノウイルスベクターを用いて、培養細胞への遺伝子導入まで行うことは出来た。

今後の研究の推進方策

DAX1発現アデノウイルスベクターの増殖や精製には時間を要するため、余裕をもって予定を立てることが重要と思われる。また、効率的に研究を進めるために研究指導者や研究協力者との連絡を密にとっていくことが重要と考える。

次年度の研究費の使用計画

本研究では、精巣内体細胞における転写因子DAX1の機能解析とアデノウイルスベクターを用いた精巣内遺伝子治療への臨床応用を目指し以下の4つを計画していた。i. DAX1発現アデノウイルスベクターの作製、ii. 培養細胞(セルトリ細胞とライディッヒ細胞)におけるin vitroでのDAX1機能解析、iii. ラット精巣に対するアデノウイルスベクター投与の条件検討、iv. ラット精巣におけるin vivoでのDAX1機能解析。
本年の研究では、DAX1発現アデノウイルスベクターの作製と培養細胞への遺伝子導入(上記iとii)を行うことができた。DAX1の機能解析に向けて遺伝子発現の変化をとらえることもできた(上記ii)。しかし、精巣内遺伝子治療への臨床応用を目指した動物実験(上記iiiとiv)がまだ行えていない。そのため、次年度以降に動物実験を行いたい。
以下の2つを計画している。i. 精巣に対するアデノウイルスベクター投与の条件検討:ラット等の実験動物の精巣に様々なタイターのウイルス溶液を投与し、投与後1、4、7、14日目に精巣を採取する。DAX1・eGFP発現の局在とウイルスベクターによる炎症反応の経時的変化を解析し、適切なウイルスタイターを決定する。ii. 精巣におけるin vivoでのDAX1機能解析:造精機能障害モデルとして停留精巣モデルラット等を用いる。精巣網から精細管内にアデノウイルスベクターを逆行性投与し、セルトリ細胞をターゲットとして遺伝子導入する。遺伝子導入後、経時的に採取したラット精巣を組織学的に検討する。
具体的には、まず、HEK293細胞を用いたアデノウイルスベクターの増殖、ウイルスの精製、ウイルスの力価測定が必要である。遺伝子導入の対象であるラット等の実験動物も使用を予定している。

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公開日: 2015-05-28  

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