研究課題/領域番号 |
25861444
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岩月 正一郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (70595397)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 精子形成 / 遺伝子導入 / siRNA / Numb / Numb-like / 精細胞 |
研究実績の概要 |
前年度では、今回NumbおよびNumb-likeの精子形成における機能の解析をするにあたり、正常精巣での発現を検討した。さらに、in vivoにおいて機能をノックダウンするために、NumbおよびNumb-likeに対するsiRNAを発現する遺伝子を組み込んだベクタープラスミドを構築した。本年度は、構築したベクタープラスミドを大腸菌を用いて大量に増幅し、それをラット精巣に導入することに着手した。 1.増幅したベクタープラスミドをラット精巣に、電気刺激法(エレクトロポレーション法)により導入した。遺伝子導入の至適条件を検討するために、電気刺激における、電圧、刺激回数、ベクタープラスミドの濃度を変えて検討をした。その結果150μgのベクタープラスミドを注入し、100V、18回の電気刺激で最も導入効率が高くなることが明らかとなった。これ以降の遺伝子導入の条件をこのように決定した。 ベクタープラスミドにはレポーター遺伝子としてEmGFPを組み込んであるため、ベクタープラスミドが導入された細胞と、導入した遺伝子の発現を蛍光顕微鏡で確認することが可能である。導入後2・4・6・8週で組織を観察したが、4週間まで、導入遺伝子の発現が確認できた。また、電気刺激による精巣への組織障害は、導入後1週以降では形態学的にほとんど認められないことが明らかとなった。 2.次にNumbおよびNumb-likeの遺伝子機能の解析を開始した。NumbおよびNumb-likeをそれぞれ単独でノックダウンした場合(Group AおよびB)と両者をノックダウンした場合(Group C)、さらにネガティブコントロール群(Group D)の4群で、遺伝子のノックダウンによる精子形成の変化を検討することとした。現在も引き続き、遺伝子導入により研究継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は実際にsiRNAを発現するベクタープラスミドをin vivoで導入することを開始した。ラット精巣へのin vivoでの遺伝子導入には大量のベクタープラスミドが必要であり、また至適条件の設定に難渋したところはあったが、今年度中に至適条件の設定と、電気刺激(エレクトロポレーション)の影響を評価できたため、おおむね順調に進んでいるとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前に記載した4群において、NumbおよびNumb-likeをノックダウンした精巣での精細胞の分化を組織学的に検討することを継続して進める予定である。また、組織学的評価のみではなく、NumbおよびNumb-likeを取り巻く遺伝子群(ことにNotchシグナル伝達系の遺伝子群)の発現変化を定量RT-PCRや免疫染色により評価していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は謝金の出費がなかったため、少額ではあるものの金額に余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
他の研究費とともに、次年度、ベクタープラスミドの増幅のための費用、分子生物学的解析のための試薬などに使用の予定である。
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