研究課題/領域番号 |
25861451
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安水 洋太 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40464854)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 去勢抵抗性前立腺癌 / 転写後翻訳 / リン酸化 / Pin1 |
研究概要 |
当院で前立腺癌に対して根治的前立腺全摘術を施行し、かつ研究での使用に関して同意を頂けている100症例分の臨床検体におけるPin1の発現を免疫組織化学の手法を用いて評価した。組織の病理学的悪性度と比例してPin1の発現は亢進し、かつPin1の強発現は極めて強力な再発予後因子であることを確認した。同様に、去勢抵抗性前立腺癌に対して経尿道的前立腺切除術を施行した病理検体でのPin1の発現を評価したところ、一様にPin1の強発現を認めた。 続いて、当科が保有する前立腺癌細胞株を用いてIn vitroでの研究を行った。当科で樹立したC4-2AT6は去勢抵抗性前立腺癌細胞株であるC4-2をアンドロゲン除去環境下で樹立した細胞株である。LNCaP、C4-2、C4-2AT6はアンドロゲン除去環境下での前立腺癌の増悪過程を模倣する。Pin1の発現をウエスタンブロットで評価したところ、LNCaP、C4-2、C4-2AT6と段階的に発現が増強することが判明した。このことは、癌の進展に伴いPin1の発現が亢進し、Pin1を標的とした治療戦略の有用性を示唆した。Pin1阻害剤であるJugloneを用いてPin1阻害による殺細胞効果を検討した。Jugloneは濃度依存的にC4-2AT6に対して抗腫瘍効果を示した。さらにドセタキセルとJugloneの併用効果について検討を行った。両剤の併用はさらに高い殺細胞効果を認めた。ドセタキセルは去勢抵抗性前立腺癌に対する標準治療である。これらの結果は去勢抵抗性前立腺癌に対するドセタキセルとのPin1阻害剤の併用療法の有用性を示唆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体を用いた研究及び細胞株を用いた研究は順調に進んでおり、研究の結果はおおむね仮説に従っている。
|
今後の研究の推進方策 |
動物実験はPin1阻害剤であるJugloneが明確な毒性を有するため行えていない。今後、siRNAなどを用いての実験を検討している。
|