研究課題/領域番号 |
25861456
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
日野 こころ 明治国際医療大学, 鍼灸学部, 助教 (30555652)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 膀胱 / 頻尿 / 膀胱炎 / モデルラット / 仙骨部鍼刺激 |
研究概要 |
本課題はシストメトリー(CMG)法を用いた蓄尿・排尿機能の評価および免疫組織化学染色法による形態評価を行い、排尿障害に対する鍼刺激の有用性について検討することを目的とする研究である。ラットを対象に動物の病態モデルとして特徴の異なる3種類の頻尿誘発モデルを作製し、全てのモデル動物および正常ラットに対してCMGを実施した。特にモデルに対する鍼刺激の影響を中心に検討を行った。鍼刺激は臨床にも用いられる仙骨部とし、1分間の刺激を加えた。CMGは排尿間隔(min)を評価対象とし、施術前60分間のCMGで得られる排尿間隔に対する刺激後の変化を検討した。酢酸(acetic acid ; AA)群は0.25%の酢酸を膀胱内に60分間注入し頻尿を誘発した。シクロフォスファミド(CYP)群はCMG施行48時間前にCYP (150 mg/kg)を腹腔内投与し頻尿を誘発した。塩酸(hydrochloric acid ; HCl)群はCMG施行15日前に塩酸(0.4規定)0.2 mlを膀胱内に注入し頻尿を誘発した。作成した頻尿モデルに対して鍼刺激を加えたところ、AA群およびHCl群では有意(p<0.001, Dunnett’s検定)な排尿間隔の延長がみられたが、CYP群では排尿間隔の延長が確認されなかった。組織学的検討により、AA投与モデルでは膀胱上皮まで侵襲がみられ、HCl投与モデルでは膀胱筋層まで侵襲がみられた。作成する頻尿モデルの特性によって鍼刺激の介入に対する反応性の違いが顕著に表れることが明らかとなった。作用機序および中枢への影響に対する検討を行う上で基盤となるデータの蓄積を行い、また動物モデルの安定化を図ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、仙骨部鍼刺激の効果に対する効果の検討の一指標として、カンナビノイド受容体阻害薬を用いた検討を予定していたが、測定機器の調整等に時間を要したため、25年度中に実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討から、動物モデルの特性によって鍼刺激に対する反応が異なることを明らかとなった。仙骨部鍼刺激の有用性の違いをより明らかにするため、組織学的検討をさらに推し進め、CYP投与群での膀胱所見を精査する必要があると考える。前年度実施できなかったカンナビノイド受容体阻害薬を用いた検討を行う。各モデルを作製後、CMGを行う過程はこれまでと同様である。仙骨部鍼刺激前にCB1阻害薬であるAM251 (3 mg/kg) およびCB2阻害薬であるAM630(3 mg/kg)注入後、一回の排尿を経て仙骨部鍼刺激を行い、仙骨部鍼刺激の効果に与える影響を検討する。また、臨床的に過活動膀胱や間質性膀胱炎の治療に用いられる薬剤との併用効果に対する研究を行うとともに、中枢神経系に対する影響を対象とした基礎的検討を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験計画の遅れに伴い、動物の購入および抗体などの購入が次年度へずれ込んだことに加え、予定していた国際学会への参加を見送ったことから次年度使用額が生じた。 研究費は主に試薬等の消耗品の購入やデータ解析装置に充てる他、研究成果の公表に必要な費用として使用する予定である。
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