研究課題/領域番号 |
25861462
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂本 雅弘 東北大学, 大学病院, 技能補佐員 (50645299)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生殖 / 不妊 / アポトーシス |
研究概要 |
卵母細胞の成熟過程における卵胞発育障害は早発閉経や高齢不妊患者において治療困難な病因であり、病因の大半が原因不明である。本研究はp53ファミリーに属するp63 isoformであるTAp63αの卵母細胞における生理的意義について、生殖細胞特異的に高発現するBasonuclin1(Bnc1)の直接的な遺伝子発現制御メカニズムに焦点を当てて、分子レベル・遺伝子レベルで解析し、早発閉経や加齢におけるTAp63αの役割について明らかにすることを目的としている。今年度に得られた知見は以下の通りである。 マウス卵母細胞においてTAp63αの発現を実際に確認した。すなわちTap63αは共焦点レーザー顕微鏡を用いた免疫蛍光染色法で一次卵胞から初期の胞状卵胞まで発現していたが、成熟卵母細胞においてはTAp63αの発現を認めなかった。 これまでにルシフェラーゼアッセイの実験系でp63はBnc1プロモーター領域に結合し、Bnc1遺伝子発現を促進することが報告されているが、TAp63αやBnc1の発現を認めないことが判明しているHeLa細胞(子宮頸部腺細胞)にTAp63αを過剰発現させても、Bnc1の発現を認めなかった。卵母細胞ではBnc1は1細胞期胚まで発現することが分かっている。これらの結果はp63-Bnc1シグナル伝達経路はDNAのメチル化などによって細胞特異的に制御されている可能性を示唆している。 また、TAp63αやその他のp63 isoformのプラスミド精製や抗体のクオリティチェックを済ませ、これまで報告されているTAp63αについての知見を確認し、卵母細胞にTAp63αを発現させるためのマイクロインジェクション用mRNAを作製するため、プラスミドを作製し、mRNAの精製まで終了させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
未だ震災後の建物建て替え工事中のため、実験室の引っ越し移動と実験スペースの間借りを繰り返しているため、申請書通りのペースで研究が進んでいるわけではないが、概ね計画書通りに進んでいる。 引っ越し中のためマイクロインジェクションをできる施設を借りて、卵母細胞にmRNAをマイクロインジェクションできる環境を確立できた。 HeLa細胞を用いて、子宮頸部腺細胞においてはTAp63αがBnc1の遺伝子発現を制御するわけではないことを示した。また、マウス卵巣から一次卵胞などの未熟卵母細胞を収集する技術を習得し、リアルタイムPCRで遺伝子発現レベルを検討することができた。今後、マイクロインジェクションでTAp63αをマウス卵母細胞に過剰発現させ、卵母細胞におけるTAp63αの機能を検討することができる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの計画書通りに進めていく。 その他の追加実験として、これまでのHeLa細胞を用いた実験結果から、p63が結合するBnc1のプロモーター領域のメチル化が細胞特異的に異なる可能性がある。そのため、新たにBnc1プロモーター領域のメチル化が細胞特異的に異なるか否か、まずマウスの卵母細胞とヒトHeLa細胞を用いて比較検討する。同時に加齢卵ともBnc1プロモーター領域のメチル化を比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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