研究概要 |
新規選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)による新しい子宮筋腫治療の開発を目的として研究を遂行している。本研究ではラット子宮筋腫細胞株(ELT-3細胞)および、ヒト子宮筋腫モデルマウスを用いてSERMであるSS1020、SS5020を子宮筋腫治療薬として臨床応用するための研究を目的としている。 平成25年度は筋腫モデル細胞株であるELT-3細胞を用いてSS1020、SS5020の細胞増殖抑制効果を検討した。SS1020、SS5020は開発者のニューヨーク州立大学の澁谷らから供与を受けた。細胞増殖抑制効果の比較検討のため、既存のSERMであるタモキシフェンを採用し比較検討した。細胞増殖抑制効果は、3,000細胞/wellおよび5,000細胞/wellで播種した細胞に各薬剤を添加し、24時間培養後にMTS assayにて評価した。各薬剤の添加濃度は、乳癌細胞株MCF-7細胞で行った澁谷らのIC50の結果を参考に行った。各薬剤のIC50はタモキシフェン、SS1020、SS5020でそれぞれ4.2±0.2、25.0±0.9、51.2±1.8 uMであった。よって、本研究ではタモキシフェンを100nM、1uM、SS1020を1uM、5 uM、25 uM、SS5020を5 uM、10 uM、50 uMの用量で検討した。 MTS assayの結果では3,000細胞/wellの条件において、タモキシフェンの100 nM以上、SS5020の50uMで有意に細胞増殖が抑制された。しかしながら、SS1020では抑制効果が確認されなかった。また、5,000細胞/wellの条件ではタモキシフェンの1uM以上、SS5020の50uMで有意に細胞増殖が抑制された。しかしながら、SS1020では抑制効果が確認されなかった。
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