研究課題/領域番号 |
25861463
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
李 賓 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 研究支援者 (20566814)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 子宮筋腫 / SERM / 子宮筋腫モデルマウス |
研究実績の概要 |
新規選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)による新しい子宮筋腫治療の開発を目的として研究を遂行している。本研究ではラット子宮筋腫細胞株(ELT-3細胞)および、ヒト子宮筋腫モデルマウスを用いてSERMであるSS1020、SS5020を子宮筋腫治療薬として臨床応用するための研究を目的としている。 平成25年度で、MTS assayを用いた新規SERM(SS1020、SS5020)の細胞増殖抑制効果を検討した結果、SS5020のみで抑制効果が確認された。よって26年度は、SS5020のみを用いてin vivoの検討を行った。 免疫不全マウスであるNOGマウスの皮下に移植2日前にエストロゲン徐放性ペレットを埋め込んだ後、ヒト子宮筋腫手術検体より切除した子宮筋腫組織片を皮下に移植する。これをヒト子宮筋腫移植モデルマウスとする。移植翌日よりSS5020を3.2mgと10.7mg/kg/dayの用量で、8週間経口投与し、1週毎に移植片のサイズを測定した。さらに8週の投与期間終了後、移植片を摘出し、病理組織学的検討により筋腫に対する抑制効果を検討した。 全ての群において移植組織のサイズに変化は見られなかった。移植片の病理組織学的検討では、SS5020の10.7mg/kg/day投与群で、細胞数を有意的に減少した。また、ERとPRの陽性細胞数も有意的に減少した。Ki-67はSS5020投与群で有意な陽性細胞数の減少がみられた。TUNEL染色では、SS5020投与群で陽性細胞数の有意的な増加が確認された。一方、SMA (smooth muscle actin)の発現面積とエラスチカマッソントリクローム染色に有意な変化はみられなかった。 以上より、SS5020は子宮筋腫に対し抑制効果がみられるものの、その効果はそれほど強いものではない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は第2子出産に伴う産休及び育休で、当初の予定から遅れを取ったが、平成26年度において平成25年度の未達成分および26年度の実施予定のものを合わせておおむね遂行することができた。ヒト子宮筋腫移植モデルマウスを順調に作成し、SS5020を3.2mgと10.7mg/kg/dayの用量で投与した。移植組織サイズに変化は見られなかったものの、組織学的にSS5020の筋腫細胞の増殖抑制効果を見いだすことに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に行ったin vivo実験で使用したヒト子宮筋腫移植モデルマウスモデルはエストロゲンを補充したモデルであり、移植組織が生着はするものの増大することはないモデルである。子宮筋腫の増大にはプロゲステロンが重要であることが知られている。よって、27年度はエストロゲンに加えプロゲステロンを加えた移植モデルマウスを作成し、それに対するSS5020の抑制効果を引き続き検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度請求額と合わせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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