研究課題/領域番号 |
25861466
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 敏治 秋田大学, 医学部, 助教 (70636183)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヒト卵巣奇形腫 / 単為発生 |
研究概要 |
本年度は、奇形腫孤発群と若年で再発を繰り返す群(奇形腫再発群)でそれぞれヒト奇形腫摘出標本の集積を行った。特に希少である奇形腫再発群の奇形腫標本が3例集積できた。当初の予定ではこれらよりmRNAを抽出し網羅的に遺伝子解析を行う予定であったが、検体が予定数まで達していないため解析保留とし、RNA安定化保存液および凍結にて保存中である。代わりに、一部の組織から消化法にて腫瘍細胞の単離・培養したものを用いて、奇形腫孤発群と奇形腫再発群の遺伝子解析および細胞多能性評価を行った。ヒト奇形腫細胞をMF培地を用いて培養し、間葉系幹細胞様細胞をNanog、Oct4、Sox2、SSEA-4、CD44で免疫染色で確認し、real-time RT-PCRにてNanog、Oct4、Sox2、SSEA-4、CD44の発現量の違いを解析中である。分化能・増殖能については、近年、胚性幹細胞から奇形腫へ分化するtriggerとなる候補遺伝子から選定して、また奇形腫形成能については、NOGマウスへの移植で次年度に評価する予定である。 奇形腫患者の卵細胞の形態学的評価は、パラフィンブロック切片で行った。奇形腫孤発群では単為発生や卵の形態異常などはみとめられなかった。奇形腫再発群は若年であるため腫瘍核出標本しか得られず、今のところ評価できていない。また奇形腫既往の不妊症患者が1例も現れていないため、配偶子での形態学的評価は行えず、次年度は過去の症例に遡って解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特に希少な若年で再発を繰り返すヒト奇形腫標本と奇形腫既往のある配偶子の集積が十分でないため、網羅的遺伝子解析をまだ行っていない。そのため、ヒト奇形腫標本からの単離細胞培養し、ヒト奇形腫の間葉系幹細胞様細胞の分離を確立中である。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに行う予定であるが、奇形腫既往患者の配偶子の集積が遅れており、配偶子についての検討は本研究助成以外で行う予定である。奇形腫発生の原因となる候補遺伝子が絞れた場合、①siRNAを用いた候補遺伝子のノックダウン、またはマイクロインジェクションを用いた遺伝子の過剰発現をおこしたヒト卵子を、②体外培養し単為発生率を検討する。この研究に使用する卵子は生殖補助技術にて得られた余剰卵子または、子宮体がん手術時摘出卵巣からの採取された卵子を用いる。当院倫理員会で承認済の“卵巣卵子採取に関する説明と同意”を得た患者の卵子のみを使用する。その後、上記で得られた細胞塊をNOGマウスの腎被膜下に移植し、奇形腫形成能を検討する。胚性幹細胞に比べ多能性や増殖能が劣っている可能性があり、細胞外マトリックスなどを併用することで生着率をあげた移植モデルを確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
網羅的遺伝子解析をまだ行っていないため 配偶子および奇形腫細胞の培養のための消耗品(培養液・器具など)、遺伝子解析・蛋白解析に用いる試薬や抗体、NOGマウスの購入および飼育、iPSや婦人科腫瘍に関する研究会への参加・学会発表などの参加費・旅費に使用する。
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