研究課題/領域番号 |
25861468
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山下 宗一 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10516412)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | LH受容体 / IL-6 / 卵巣顆粒膜細胞 / 子宮内膜症 |
研究概要 |
本研究では卵巣におけるゴナドトロピン受容体であるLH受容体の発現制御機序およびそのシグナル伝達機序、細胞分化増殖やステロイド合成についての作用とその機序について注目して検証を行うこととした。卵巣においては、顆粒膜細胞が卵胞発育や排卵などの生殖機能において主要な役割を担っていることがわかっているため、はじめにラット卵巣より顆粒膜細胞を抽出し初代培養系を作成し、この細胞培養系を用いてLH受容体のmRNA発現をNorthern blot、定量的RT-PCRなどにて解析した。また、同細胞系におけるシグナル伝達についても、シグナル伝達に関わるタンパク質のリン酸化をWestern blot法にて解析した。今回は特に、正常女性の生理的条件下において卵巣顆粒膜より生成される物質であり、子宮内膜症患者においてその腹腔内濃度が高いと報告されているIL-6の作用機序を中心に検証した。以前よりFSHによりLH受容体発現が促されることを当教室では確認しているが、この細胞系にFSHとの共存下でIL-6を添加すると、濃度依存的にLH受容体発現がmRNAレベル・細胞膜表面のタンパク発現レベルともにさらに促されることを確認した。この作用はJAK pathway inhibitor で抑制され、またERK1/2 inhibitorでは抑制を受けなかったことより、IL-6はJAK pathwayを介して作用していることが示唆された。また、顆粒膜細胞ではIL-6の添加によりIL-6受容体の発現増加も認め、IL-6はparacrineまたはautocrineの作用機序も持つことが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では主に幼弱ラットの卵巣およびそこから採取した顆粒膜細胞の初代培養系を用いて種々の解析を行っている。初代培養系を使用するため、解析を行うごとにラット卵巣から顆粒膜細胞を抽出し培養系を作成する必要がある。細胞培養系を作成した上で解析を開始するため研究に時間を要する。また一度に作製できる安定した細胞培養系に量的限度があることも解析の進行に時間を要している一因と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
安定した顆粒膜細胞培養系を効率よく作成するための技術を高めていくほか、一度に作製した培養系からより多くの解析結果が得られるような研究手法を検討していく。また細胞培養系から得られた解析結果をもとに、生体を用いた検討や外的要因による変化などについても研究を進めていく。特に、IL-6は子宮内膜症ひいては不妊症との関わりが深いと考えられるため、臨床面とも連携して研究を進めたい。
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