研究課題/領域番号 |
25861470
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鶴岡 信栄 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (50375763)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 体細胞突然変異 / 卵巣がん |
研究概要 |
子宮内膜症では、明細胞癌の合併が多い。明細胞癌においてARID1A、c-myc をはじめとするの癌遺伝子、癌抑制遺伝子に変異が高率にみられることが報告されているが、その変異導入メカニズムは明らかではない。RNA編集機能をもつ Adenosine deaminase acting on RNA1(ADAR1)が IFNγの刺激により発現誘導される。申請者らは、ADAR1がゲノムDNAに A→G 突然変異を誘導することを明らかにした。子宮内膜症では、炎症によりADAR1発現が亢進していると推定され、この発現亢進したADAR1が、体細胞突然変異を導入している可能性がある。そこで本研究では、子宮内膜症患者組織を用いて、 ADAR1 の発現が亢進していることや、この亢進とARID1A遺伝子の変異率が相関することを明らかにする示す。さらに、私たちの作製したADAR1過剰発現マウスをdonorとした子宮内膜症マウスモデルを作成し、その作成された内膜症組織の癌遺伝子、癌抑制遺伝子に変異が生じていることを明らかにする。平成25年度は、ADAR1の発現ベクターを作成し、マウス胎児繊維芽細胞(Mouse Embryonic Fibroblast : MEF)に導入した。ADAR1 の強制発現により、1)癌遺伝子 c-myc に体細胞突然変異が導入されること、2)これらの細胞において、DNA二本鎖切断の指標となる γH2AXの発現が亢進していることが明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ADAR1 の強制発現により、1)癌遺伝子 c-myc に体細胞突然変異が導入されること、2)DNA二本鎖切断の指標となる γH2AXの発現が亢進していることが明らかにした。これらは、ADAR1 の強発現が発癌に関与することを示唆していることから、初期の研究目的は達成された。
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今後の研究の推進方策 |
子宮内膜症患者からの臨床検体およびマウスを用いた内膜症モデルを作製して以下の点を明らかにする。子宮内膜症組織に、ADAR1が過剰に発現していることをmRNAやタンパクのレベルで明らかにし、かつARID1A遺伝子をはじめとする癌遺伝子、癌抑制遺伝子の変異率を解析する。卵巣を摘出したマウスにエストロゲンを投与した後、その子宮内膜を別に卵巣を摘出したレシピエントマウスの腹腔に移植したのちエストロゲンを投与し続けることにより子宮内膜症モデルを作成する。この時のADAR1の発現誘導を前項と同様にして解析する。次に、ADAR1過剰発現マウス(トランスジェニックマウス:作製済み)由来の子宮を用いて、子宮内膜症モデルを作成し、内膜症細胞におけるARID1A遺伝子や他の癌遺伝子の変異率を解析するとともに、悪性化への進展が見られることを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
①予定していた試薬を購入しなかったため ②教室内の試薬を使用したため ①大量のマウスが必要となるための購入費、また、維持費として必要なため。 ②分子生物学的研究として、 PCR Primer としての DNA 合成費用、RNA もしくは 蛋白の発現解析費用が必要であり、培養実験のため、メディウム、牛胎児血清、培養器材などが必要なため。
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